橋田長官(中央)は長周期地震動に関する情報の活用を目指す方針を示した

気象庁はビルやマンションといった高層建築物の揺れに大きな影響を与える長周期地震動情報のオンライン配信を行う計画を示した。14日、「長周期地震動に関する情報検討会」の第13回会合を開催。地震後に長周期地震動階級などの情報を配信。ニュースサイトやテレビ・ラジオといったメディアを通じ、広く通知を図る。早くて2019年度となる見通し。

長周期地震動の階級は1~4に分かれており、3は立っていることが困難、4ははわないと動くことができないレベル。1であってもエレベーターが止まるといった影響が及ぶこともある。認知度についてのヒアリング調査では、2014年度に57.0%が「見たり聞いたりしたことがあった」と回答。一方で2015年度調査では階級については51.1%が「言葉も内容も知らなかった」と回答している。

気象庁では認知度や利便性、安全性向上を目指し、地震から10分後をめどとして長周期地震動情報のオンライン配信を実施。気象庁ホームページに内容を掲載するほか、ニュースサイトやテレビ・ラジオ、アプリなどによる広い通知を図る。配信するケースは(1)階級1以上(2)階級1以上または震度3以上―の2つの案から検討する。階級は単に数字を伝えるだけではイメージしにくいことから、説明の短い文章も入れる方針。

また、気象庁ホームページにあり、地震が起こった際に階級を知らせている「長周期地震動に関する観測情報(試行)ページ」について、1年程度かけて改善を実施。2018年度末をめどに本格運用を行う。

気象庁の橋田俊彦長官は「長周期地震動についてはまだまだ認知されていない。多様なニーズに応える必要もある」と指摘。「長周期地震動についても民間サービスに情報が利用され、気象業務の向上につながるようにしたい」と述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介