計画書類と用具類をセットで備蓄


岐阜県内でBCP策定などの支援活動などを展開している一般社団法人BC経営推進機構(代表理事:後藤康夫氏)はこのほど、福祉避難所の開設・運営を支援する「福祉避難所開設BC(事業継続)機能付スターターキット」を開発し、これを活用したコンサル業務を開始した。 

スターターキットは、災害時の福祉避難所の開設から運営まで一連の対応をまとめた計画書類と、手袋、ロープ、懐中電気、ビニールテープなど、避難所を迅速に開設するための用具類をセットにして1ケースにまとめたもの。
災害対応計画書は、誰がどのような順番で何をすればよいか、その際、どの指示書を参考にどのような点に気を付けるべきかが、時系列でまとめラミネート加工されている。災害時には、実施した項目に水性マジックでチェックを入れることで、対応の抜けもれが起きない工夫も施されている。 

福祉避難所とは、既存の福祉施設などを活用し、介護の必要な高齢者や障害者など一般の避難所では生活に支障を来たす人を受け入れ、支援する避難所のこと。厚生労働省が平成24年に行った調査では、全国1742市区町村のうち、981市区町村で、計1万1254施設が指定されており、指定済みの施設のうち80%以上が社会福祉施設。そのうち半数以上の約55%が高齢者福祉施設になっている。こうした福祉施設を運営する福祉事業者は災害時でも入所者の支援を継続し続けるとともに、さらに要援護者を広く受け入れ支援をすることが求められる。 

一方、内閣府が平成24年3月に発表した「企業の事業継続の取組に関する実態調査」によると、社会福祉法人のBCP策定状況は、策定済みが5%、策定中が7%にとどまり、BCPを知らなかったとの回答が43%と大半を占める。 

理事の足立育雄氏は「災害時に、スターターキットを開ければ、誰がどういう順番で何をしなくてはいけないかがすべて分かる仕組みにした」と説明する。 

計画書類は、①発災直後からリーダー、職員、入居者、福祉避難所、住民・自治体がとるべき対応を示した全体フロー図と、②避難計画や災害時初動対応計画、優先業務仮復旧計画など、各計画で必要になる指示書の一覧表、③計画ごとの指示書類で構成されている。 

コンサルティングでは、この計画書類をもとに、実際に職員一人ひとりが動けるよう訓練までを行う。「状況に応じて計画書の内容も書き換え、職員が確実に福祉避難所を開設運用できるようにしたい。県内の全福祉施設がスターターキットを導入すれば被災時の職員の行動が統一でき、有事の際でも連携しやすくなる」(足立氏)としている。