2015/07/25
誌面情報 vol50
見落としがちなリスク
福渡氏は「国内の課題として、多言語化への対応やバリアフリー化などもある」と注意を促す。多言語化やバリアフリーは、巨大災害や大規模事故などに比べると、リスクという言葉が適切とは思えないかもしれないが、これらも、東京大会が掲げている「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という目的達成を阻害する要因になることからリスクとして捉えるべきだという。落合氏は、「民間企業においても、東京2020大会の目的達成に向けた種々の取り組みから自分たちの事業がどのような影響を受けるのか、もしくは、どのような影響を与えるのかを考える際には、マイナス面だけでなくプラス面につながる観点から気付けるリスクもあることを認識するべき」と付け加える。
組織委員会の基本計画では、大会を支える機能(ファンクショナルエリア:FA)として、宿泊、出入国、競技、会場マネジメント、選手村マネジメンなど計52の機能を挙げている。
福渡氏は「これら一つひとつの機能が抱えるリスクについて、対処の優先順位が必ずある。各機能の主体となる組織がリスクマネジメント体制を構築し、リスクを特定・把握・評価し、重要リスクを選定・対策した後、それをモニタリング・改善するPDCAサイクルを構築しなくてはいけない」と話している。
(了)
誌面情報 vol50の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方