2018/02/16
防災・危機管理ニュース

東京都は16日、「東京都防災アプリ」の無料配信を3月1日から開始すると発表した。都の防災ガイドブック「東京防災」や同日から無料配布される、いわゆる「女性版東京防災」こと「東京くらし防災」の閲覧のほか災害情報の配信や防災マップなどの機能を備える。iOSとAndroidのスマートフォンとタブレットで利用できる。
「東京都防災アプリ」は「あそぶ」「まなぶ」「つかう」の3つのコンセプトからなる。「あそぶ」では防災クイズのほかシミュレーションゲームなどで、楽しく防災に触れる。「まなぶ」では「東京防災」や「東京くらし防災」の閲覧や内容の検索を行えるほか、15日に最新版が発表されたばかりの、都内5177町丁目ごとの地震時の地域危険度も見ることができる。「つかう」では備品などのチェックリストや災害情報のプッシュ配信機能、さらにはGPSを活用し現在位置から避難所のへのルートも示せる防災マップや安否登録・確認機能も利用可能。安否確認・登録は「Google(グーグル)パーソンファインダー」による検索で家族や友人の安否確認を手助け。メールやLINEとも連携する。
同じく3月1日から配布される「東京くらし防災」は備蓄や整理整頓など普段の備えのほか、発災後の在宅生活や避難所生活で気をつけるべき防犯や衛生の情報などをまとめた。「東京防災」と同じB6判で164ページ。聴覚障害者向けに各ページの左下に内容を読み上げるための音声コードも掲載。そのそばには視覚障害者向けに音声コードの存在を示すための切り込みも入れている。初版は100万部。都立・区市町村立施設のほか民間施設では女性が訪れる美容院やネイルサロン、生活に身近な郵便局など約9000カ所に専用ラックを設置し配布する。今後は電子書籍としての無料配布も予定しているという。
小池百合子知事は16日の記者会見で「東京都防災アプリ」について「平常時も災害時も役立つ機能を備えている。ぜひ活用してほしい」と述べた。15日に発表された地域危険度については、「(前回調査の)5年前と比べて建物の倒壊や火災の危険度は下がっているが、木造住宅密集地域の危険度はまだ高い」と説明。首都直下地震の可能性が今後30年以内で70%とされていることから、「いつ災害が起こってもおかしくない」としたうえで、「都として燃えない、倒れない街の実現を目指す。市街地の不燃化、延焼遮断帯の形成、緊急輸送道路沿道建物の耐震化などを強力に進めていく」と意気込みを述べた。
■ニュースリリースはこちら
「『東京都防災アプリ』の配信について」
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/16/06.html
「女性視点の防災ブック『東京くらし防災』について」
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/16/07.html
■関連記事
「地震総合危険度、中野区や杉並区で高く」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4892
「女性版東京防災、美容院などで3月配布」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4593
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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