日本経済団体連合会(経団連)はこのほど、「非常事態に対してレジリエントな経済社会の構築に向けて」と題する提言をまとめた。新型コロナウイルスが社会の脆弱さを浮き彫りにした現状を踏まえて、非常事態に強く、早期の事態収束・復旧を可能とする「レジリエントな経済社会」の構築が求められていると指摘。あらゆる非常事態に対応するための方策として、企業に対しては、「オールハザード型BCP」への転換や、サプライチェーンの強靭化を求めたほか、政府に対しては、非常事態に省庁横断・産官学を挙げた対応が可能な「バーチャルな非常事態対応組織」の創設を提案した。

提言は、コロナ禍によって、▽既存のBCPの想定を超えたため(パンデミックを想定できず)事業継続が困難、▽世界規模でもたらされたサプライチェーンの分断(様々な物資・製品の供給が停滞)――という課題を浮き彫りにしたと指摘。
その対応策として提起した「オールハザード型BCP」は、地震や台風といった個別事象毎にBCPを整理するのではなく、非常事態の発生によって〝結果として生じる事象〟に着目して事業継続の方策を整理。非常事態時に優先すべき業務を明確にし、事業継続の備え(設備投資・備蓄等)を万全にするとしている。

さらに、企業に対して、サプライチェーン全体の強靭化に向けた取り組みを加速することを求めた。具体的には、①多元化(あるサプライチェーンが機能不全になっても事業継続が可能に)、②可視化(何をどこに供給し、在庫をいかに確保するか迅速に判断が可能に)、③一体化(サプライチェーン全体を貫くBCPの策定等)――の3つの取り組みによってサプライチェーンの強靭化を推進するとした。