(出典:Photo AC)

今回紹介させていただく論文(注1)は西ノルウェー研究所(注2)の研究者が今年発表したもので、コミュニティーのレジリエンスのモデリング、測定、および可視化に関する研究の系統的文献レビューである。本論文の著者は同研究所で「地域コミュニティーの革新によるレジリエントなヨーロッパと社会」(Resilient Europe and Societies by Innovating Local Communities)という研究プログラムに取り組んでいるメンバーである(注3)。

本論文では、次の5つをリサーチクエスチョンとして、2000年から2020年の間に発表された文献を対象としてレビューが実施されている。

1. コミュニティーレベルのレジリエンスに関して、どのような研究、プロジェクト、およびツールが既に存在するのか?
2. それらはどのような種類の脅威、ハザード、ショック、災害などを対象とするのか?
3. それら(の研究、プロジェクト、ツールなど)では、レジリエンスの要素(components)や特性(properties)として、どのようなものが、いくつ定義されているのか?
4. それらはコミュニティーのレジリエンスをどのように測定するのか?それらは定性的なエビデンスを用いるのか、定量的な指標(indicators)を用いるのか、それともこれら両方の組み合わせか?
5. コミュニティーのレジリエンスの情報を表現するための適切な可視化技術(visualisation techniques)は何か?

なお文献の検索においてはGoogle Scholar、Scopus、Web of Science、およびScienceDirectといった文献データベースが利用されている。また「コミュニティーのレジリエンス」に関連して、「都市のレジリエンス」(urban resilience)や「地方のレジリエンス」(rural resilience)という観点での研究もあることから、これらもキーワードに含めて検索が行われ、前述のリサーチクエスチョンに関連する77の文献が抽出されている。