危機発生時の広報には「言えない」ことも多くある(写真:写真AC)

危機発生時の中で行う記者会見は、想定問答集をつくるのが一苦労です。準備する時間がなかったり、想定外の質問が来たり。想定外の質問が来ると、後で社長に「何で全て想定できなかったんだ!」と怒られたりもします。

そもそも、完璧な想定問答集を作成するのは不可能です。大切なのは、困った質問への対応方法を決めておくこと。それをどのように準備をしたらよいのか、全ての極意については書けませんが、一部をご紹介しましょう。

「言えない」場合の工夫

危機発生時には「言えない」ことが多々あります。理由は、原因を調査中であったり、確認中であったり、情報が錯そうしていたり、プライバシーに関わる事案だったりと、さまざまなケースがあるでしょう。

このような場合、広報サイドは「言えません」の回答を繰り返すしかないと考えている方も多いかもしれません。原則はその通りなのですが、そこに表現の工夫を少しだけ加えることをお勧めしたいと思います。

具体的には「それは言えません」で止めてしまうのではなく「それは言えませんが、……」と、言葉を続けてみるパターン。例えば「それは言えませんが、言えない理由は……です」「今は言えませんが、……になった時点で公表します」などとすると、多少丁寧な印象を与えることができます。

大切なことは「言えない理由を述べる」説明姿勢です。例えば「被害が拡大する」「プライバシーを侵害する」といった、明確な理由を説明すればよいのです。文章でさらっと書くと簡単なようですが、実際には、なかなか難しいといえます。