2017/11/14
防災・危機管理ニュース

首都圏の都県と政令指定都市である東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、千葉市、さいたま市、川崎市、横浜市、相模原市は13日、第72回「九都県市首脳会議」を相模原市の小田急ホテルセンチュリー相模大野で開催。それぞれの首長が出席した。国への要望として東京都の小池百合子知事は乳児用液体ミルクの規定整備を提案し、了承された。国による規格整備以外に、地方自治体による備蓄で液体ミルクの市場創造を目指す。
液体ミルクは粉ミルクと違い湯が不要で容器から直接飲めることから、災害時も与えやすいメリットがある。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震で、海外から支援物資として提供され利用されている。現状では食品衛生法に規定がなく、国内で製造や販売ができないこと、価格が粉ミルクの倍以上で賞味期限が半年程度であること、少子化が進む中でメーカーが新たな投資をして採算がとれるのかといった問題がある。
厚生労働省では液体ミルクについて事業者団体からデータ提出があり次第、規格基準案の作成や審議会部会で手続きを行う方針としている。小池知事は「厚労省も手を挙げる企業があれば基準を作る姿勢は見せているが、(液体ミルク生産で採算がとれるのかという)企業の経営の問題もある。私たちが動くことで事業者団体にも働きかけられる」とし、国に基準作りを要望しつつ、メーカーが参入しやすいよう、九都県市で液体ミルクの備蓄を行うことで市場を作るよう他自治体に呼びかけた。
会議後、小池知事は備蓄による液体ミルク市場創造について「国会議員時代から導入を目指す母親の団体を後押しし、厚労省や民間へのヒアリングも重ねてきた。災害はいつ起こるかわからない。オールジャパンの取り組みとしたい」と全国的な広がりとすることに意欲をみせた。
防災関連では千葉県から災害対策強化の一環として、圏央道や外環道など早期の高速道路整備の国への要望も提案され了承された。また2018年に川崎市で九都県市合同防災訓練を実施すること、同年1月11日に合同図上訓練を行うことも決定した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/11
-
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方