台風18号では問い合わせが激減 
協議会では昨年9月5日、大阪府が主催する「平成25年度大阪880万人訓練」に参加した。「府民が、いろいろな情報源から地震発生情報を認識し、地震発生時に行動できるようにする」ことを目的に2012年から開始した大規模訓練で、南海トラフ巨大地震を想定し、シナリオを作成している。 訓練には、会員組織の多くが参加。

自分たちの情報を書き込み、自治体からの情報を共有するなど、システムの有効性を検証するものとなった。多くの報道機関も加わり、システムから発信された情報をL字放送に独自変換して配信する検証テストも行われたという。 



訓練から1週間後の9月13日に発生した台風18号への対応では、このシステムが活躍した。特別警報が全国で初めて発令された関西地域では、京都の桂川・由良川の水源に大量の豪雨が発生し、床上・床下浸水など多くの被害が発生した。関西電力がほぼ1時間おきに停電情報をプレス発表と同時にかんさい生活情報ネットワークにも掲載。民放でのL字放送に実際に活用された。また、メディアからの電話の問い合わせも、サイトに情報を掲載すると伝えたところ、その後激減したという。「活用の実証例を積み重ねることが報道機関やライフラインなどの満足度向上につながる」と話すのは関西情報センター新事業開発グループ部長の小島一哉氏だ。もちろん、課題もある。閲覧する側からは、報告のフォーマットの定型化を望む意見もある。今後、国の動きなども参考にしながらメンバーの声を聞いていき、入力の容易さと見やすさの両立を確立していきたいとしている。

全国展開も視野に 
「関西発の情報ネットワークと考えているので、参加企業は関西地域だけにこだわっていない」(小島氏)。実際に、九州地区でトライアルで使ってみたいとの要望もあるという。「今回のシステムはメディアと自治体・企業の情報共有を主目的に開発したが、これまでFAXや電話でのやり取りしていた情報を、この仕組みを活用すれば相当の効率化にもつながる。また、プレスリリースも閲覧でき、報道されない情報も入ってくるため一般企業や病院・学校等のBCPにも有効だ」(小島氏)と、システムの活用場面をさらに拡大していきたい考えだ。 

かんさい生活情報ネットワーク協議会の入会には、1万円の年会費が必要となる。問い合わせは、一般財団法人関西情報センター(電話06-63462981)まで。