■気候危機へのカウントダウン
国連が2018年10月に発表した気候変動に関するレポートは「気候危機を抑制するためには地球の平均気温の上昇幅を最大1.5℃以内に抑えなくてはならないが、そのために残された時間はたったの12年しかない」と述べています。
それを超えると干ばつ、洪水、極端な熱波のリスクをさらに悪化させ、世界中で数億の人々が貧困に苦しむことになると警告しています。2018年から数えて12年ですから、2020年の今年からカウントすれば10年、つまり2030年が気候危機を回避するためのタイムリミットとなります。
こうした国連の発表を、いたずらに危機を煽っているだけだ、机上の空論に過ぎないと非難したり軽視したりする人々もいますが、そうした声もこれからは聞かれなくなるでしょう。何しろ世界中で、目の前で、歴史上見たこともないような大洪水や熱波による大森林火災が相次いで起こっているからです。
「繰り返し襲う大洪水に、人類の築いてきた富と財産がすべて飲み込まれてしまう」。気候変動の本には時々こうしたノアの方舟の物語にでも出てきそうな表現が見られますが、まさに私たちがこの数年の間に目の当たりにしてきた各地の豪雨災害の姿そのものと言ってもよいでしょう。
気候変動がもたらす異常気象や災害に危機感を抱いた世界の国々が宣言し始めたのが「気候非常事態」です。ウィキペディアでは「気候非常事態宣言」(Climate Emergency Declaration:CED)について、次のように定義しています。
「国や都市、地方政府などの行政機関が、気候変動への危機について非常事態宣言を行うことによって、気候変動へ政策立案、計画、キャンペーンなどの対応を優先的にとるものである」。現在、宣言を行った都市は世界で1400以上に上ります。
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