新宿三井ビルディング屋上に1800tの錘載せ長周期振動半減 
同社は、西新宿にある55階建ての新宿三井ビルディングについて、長周期振動の横揺れを半減させる超大型制震装置を日本で初めて屋上に設置する。今年8月に着工し2015年4月竣工予定。 

新宿三井ビルディングは、1974年に建てられた55階建て高さ210mの超高層ビル。日本建築センターの構造評定を受け大臣認定を取得し、耐震性能を十分に満たしているが、東日本大震災の長周期地震動の揺れ方により最上部で約1mの横揺れが発生したことから、「テナント企業やオフィスワーカーたちに安心して働いてもらうため」(三井不動産)に実施することにした。 

今回採用する工法は、屋上に重さ1800tにもなる制震装置を付けると共に、建物の低層部にオイルダンバーを設置する二つの制震装置の相乗効果で長周期振動の揺れを半減させると共に、揺れ時間を軽減させるもの。試算によると、東日本大震災と同じ地震の場合、だった揺れ幅が約40%に1m約6割低減するという。 

屋上に設置する制震装置は下図の通り。やぐらの上部から錘(おもり)が振り子式にケーブルでぶら下げられ、錘が揺れると4方向から伸びたオイルダンパーを介して建物と錘が反対方向に揺れることで、建物の揺れが減衰する仕組み。大型の錘を使った制震装置の採用は日本で初めて。今回の錘を屋上に設置するための新たな架構工法は、三井不動産と鹿島建設が共同で特許出願を行っている。

耐震上問題無いが、顧客ニーズに呼応 
従来の制震工法だと、制震ブレースが外壁や窓を覆い眺望が損なわれてしまう。しかし、今回の工法は、屋上に装置を設けるため、居室内の工事もなくテナント企業への影響がない。ただし、低層部分への制震装置の設置や、屋上への資機材の運搬・施工等に関しては、音や振動の影響が考えられることから、支障のある工事等は夜間に行うという。同ビルについては、非常用発電機の増強その他のBCP対応追加工事も行う。2015年4月の竣工予定。