2017/08/02
防災・危機管理ニュース
東京都は7月31日、「救急医療対策協議会」の今年度第1回会合を開催。「地域包括ケアシステムにおける迅速・適切な救急医療に関する検討委員会」の中間まとめを行い、高齢者の救急搬送抑制へかかりつけ医を持つことや相談・案内サービスの周知、かかりつけ医やケアマネージャーなどとの連携強化などの方針を示した。2018~23年度までの次期東京都保健医療計画に反映させる。
中間まとめでは2016年の救急搬送人員のうち65歳以上の高齢者が50.1%の34万6703人を占めており、2007年から約9万8000人増加。一方で高齢者以外は約3万人減少していることを指摘。高齢者の救急搬送元は2014年の調査で「自宅・外出先など」が約84%で、そのうち在宅療養患者は約5%にとどまっており、搬送される高齢者の多くは通院している高齢者または医療を受けていない高齢者であると分析している。高齢者は搬送時に情報把握や意思疎通に時間を要するほか、治療が長期化傾向にあり独居や認知症の場合には在宅療養生活への移行が難しく入院期間が長くなる課題もある。
今後の施策の方向性として、保健・医療・介護の連携を強化。医療・介護サービスを受けていない高齢者には区市町村や医師会と連携し、かかりつけ医を持つことの大切さや相談・案内サービス「#7119」の普及啓発、検診などを通じた疾病管理に取り組む。かかりつけ医や服薬内容などの情報を専用の容器に入れ、自宅に保管する救急医療情報キットの普及や情報更新などで、活用の改善を行う。
また通院や介護サービスを受けている高齢者についても、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネージャーなど関係者が連携し、相談や往診を行えるよう体制を整備。在宅療養患者については連携強化以外にICT活用による情報共有も充実させる。万が一の際のため、住み慣れた地域の医療機関への搬送や、在宅療養患者の病状変化時に受け入れを行う後方支援病床の確保といった取り組みを進める。
都ではこれら高齢者対応のほか、救急車の適正利用推進などを次期都保健医療計画に反映させる。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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