主な課題については、日常的な教育・訓練や在宅勤務の体制整備、感染症を想定したBCPの策定やその中身、日々の対応状況の記録と検証などが上位に挙げられた。一方で、これまでの対応で役立ったことについてはWeb会議システムや情報共有システムなどのハード面の対策が上位を占めた。

特定都道府県では在宅が定着

アンケートではまず、特定警戒都道府県内に本社がある組織と、それ以外の組織について、それぞれ4月7日の緊急事態宣言後に本社の出社割合が何割程度減ったかを聞いた。その結果、特定警戒都道府県内に本社があると回答した組織では、「7割以上出社が減った」とする回答が34.5%と最も高かった一方で、特定警戒都道府県以外では、「まったく変わらない」との回答が38%で最も高く、緊急事
態宣言による出社人数への影響は真逆の傾向となった(ただし、アンケート開始2日後の4月16日に緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたため、特定警戒都道府県以外の地域についても、段階的に、出社人数は減っていると予想される)。

 

緊急事態宣言後の出社人数については、特定警戒都道府県内では「2 割以下」「3 割~4割」との回答が多かったものの、政府が目指す「出勤者最低7 割減」には届いていない。特定警戒都道府県以外については「7 割以上が出勤している」との回答が突出して高く、在宅勤務がほとんど進んでいない現状を浮き彫りにした。

 

また、特定警戒都道府県内に本社がある組織を規模別にみると、100人以下の組織では、7 割以上出社している割合が20%を超えた一方で、1000人以上の大組織では2 割以下の出社が半数を超えており、組織規模によって在宅勤務の環境整備に差があることをうかがわせる結果となった。

(続く)

本記事は、BCPリーダーズ5月号に掲載した内容を連載で紹介していきます。
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