2. 選定ポイントについて客観的に評価するための方法

BCP策定の現場で、データセンターを利用しているお客様に対してわれわれが必ずする質問が「そのデータセンターのティアはいくつですか?」。何を聞いているかというと、日本データセンター協会のガイドライン「データセンターファシリティスタンダード」(以降「DCFS」)に基づいたとき、データセンターの信頼性や堅牢性はどのレベルか、ということです。

この「ティア」の考え方はアメリカが発祥です。ティアとは、データセンターの信頼性を示す段階的な評価のことです。日本に合うよう条件を緩和したり、日本独自の諸条件を追加したりしたもので、ティア1からティア4まで、4段階のレベル分けがされており、数字が大きくなるにつれ、信頼性が増すという評価となります。

写真を拡大 表1:各ティアレベルが想定している、データセンターのサービスレベル(出典:日本データセンター協会「データセンターファシリティスタンダード」)https://www.jdcc.or.jp/pdf/facility.pdf

この「データセンターファシリティスタンダード」では、「建物」「セキュリティー」「電気設備」「空調設備」「通信設備」「設備運用」の6点を基準項目として置いているほか、8点の推奨項目が設定されています。データセンターがどのような備えをしているのか、ティアを確認することで有用な参考情報を得ることができます。

写真を拡大 表2:データセンターファシリティスタンダード 基準項目一覧表(出典:日本データセンター協会「データセンターファシリティスタンダード」)https://www.jdcc.or.jp/pdf/facility.pdf
写真を拡大 表3:データセンターファシリティスタンダード 推奨項目一覧表(出典:日本データセンター協会「データセンターファシリティスタンダード」)https://www.jdcc.or.jp/pdf/facility.pdf

またDCFSのほかにも、端的にデータセンターの信頼性や性能を把握できるものとして、第三者認証があります。代表的なものとしては、ITサービス運用に係るISO20000、情報セキュリティーのISO27001、クラウド事業者の場合は、ISO27001のアドオン規格である「ISO27017 ISMSクラウドセキュリティ認証」があります。

また、ISO以外にも「SOC」が有名です。

SOCとは、「Service Organization Control」の略であり、ある企業が特定の業務を外部から受託する場合、その受託企業の内部統制の有効性について、監査法人や公認会計士が、独立した第三者の立場で評価するものです。内部統制の取組により、「SOC1」「SOC2」「SOC3」に分けられます。

「SOC1」は財務報告にかかる内部統制の評価であり、「SOC2」は、特定のサービスやシステムを対象として、セキュリティーや可用性などの内部統制に関するもので、評価対象は以下の5項目です。

【評価項目】
・セキュリティー
・可用性
・処理のインテグリティ
・機密保持
・プライバシー

「SOC3」は、受託会社の経営者、委託会社など、関係者を対象とする「SOC2」と違い、不特定の利用者を対象としています。そのため、評価項目は同じなのですが、報告書の構成としては、「SOC3」はより簡素な概要版となります。

 DCFSのティアレベルは公表されていない場合もありますが、認証についてはウェブサイトやサービスパンフレットにISO27017マークやSOC2といった表記があります。サービス内容を確認する際にはこうした点にも着目し、データセンター選定における判断材料の一つとされることを推奨します。

今回は、データセンターの導入に当たってどんな点を確認する必要があるのか、また確認する際に参考となる客観的な評価についてお話ししました。冒頭でも触れましたが、BCP対策も踏まえた、自社に適したデータセンターを導入するには、システム部門とBCP担当の連携が必須となります。どのように協力し、選定に当たればよいのかについて、第3回で解説します。