核攻撃からペットも守るために
閃光を見せない、口・鼻をカバーする・・飼い主にもできることがある
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
サニー カミヤ の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
今年から行っている「北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうやって身を守るのか?」というワークショップのなかで、参加者の方から「一般的には日本の航空自衛隊基地や在日米軍基地が狙われているとされている。しかし、もし北朝鮮の核ミサイルが日本国内のどこか、またはすべての原子力発電所に向けられていて、もし東京に最も近い原発に着弾した場合、どうやって放射能から身を守るのですか?」という、最も恐ろしいシナリオだと思われる質問を受けることがあります。
北朝鮮からのミサイル攻撃への緊張が高まるなか、先日は「北朝鮮の次の核実験の規模は?もし、このまま核実験の規模が大きくなり続ければ、偏西風によって日本の領土が放射能汚染されてしまうと思いますが、放射能による影響や被害はどの程度のものでしょうか?」「核実験の後、どのくらいのスピードで放射能が日本の領土内に上陸し、花粉や黄砂の様にアスファルトに溜まったり、土壌汚染されたりするのでしょうか?」「犬は地面を嗅ぎながら散歩していますが、放射能を吸わないか心配です」というご質問を、小さなお子様を持つお母さんからいただきました。
下記のビデオは核攻撃から身を守る方法(英語)ですが、とてもわかりやすく伝えています。
Surviving a nuclear attack - Irwin Redlener(出典:YouTube)
日本語では、下記で核攻撃時に人が生き延びる方法をご紹介いたしました。
■アメリカ流、核攻撃時に生き延びるには~肝心なのは、何が起こってもあきらめないこと
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2076
もちろん、そのときの気象条件や核実験の規模や時間帯によっても日本への影響が変わってきますので、天気予報のように放射線量測定発表が行われない限り、下記のようなサイトで調べることはできるとご紹介しています。ただ、核実験後に採取した大気サンプルから放射能汚染物質が確認でき、そのデータが異常値であれば、そのときはすでに被ばくしている状態とも考えられます。
■放射線モニタリング情報(原子力規制員会)
http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/
2016年9月に北朝鮮が核実験を行った後、北ドイツの政府系研究所である連邦地質資源研究所は、北朝鮮で試験された核爆弾の出力は40キロトンに達すると発表。広島に落とされた原爆「リトルボーイ」の3倍の規模に相当する可能性があり、核実験のたびに規模が大きくなっていることがわかっています。7回目の実験がどの程度の規模になるか気になるところです。
さて、本題の「核攻撃からペットを守る」方法ですが、まず、自分も同じ要領で身を守ることが前提ですが、下記の方法が望ましいと思います。
1、ペットに閃光を見せないこと。口を開けた状態にして鼓膜の破裂を避けることも言われていますが、ペットの口を開けた状態にするのは難しいかもしれません。
2、次にペットと散歩中にミサイルが飛んできたことを覚知しキノコ雲が視認できたら、できるだけ幅の厚いコンクリート壁のあるビル内やできるだけ外気と遮断された地下に逃げ込むか、9階以上の建物に逃げ込み窓ガラスや飛散物の飛んでこない場所でうつぶせになって身を守るか、周りに何も無い場合は、ペットの大きさにもよりますが、自分のお腹の下に入れて守ってあげることがベストかもしれません。
3、もし、運転中であれば、安全運転で、できるだけキノコ雲から遠くへ、風下や風横方向へ約2キロメートル以上避難すること。
4、ペットの肌、口、鼻をカバーして放射能物質を吸わせないようにする。車内であればエアコンを消し、外気を車内に入れないようにする。もし、暑い時期で熱中症になりそうな場合は、できるだけ遠くに避難後、窓を開けて車内の温度を下げる。
5、放射能を被ばくしたと思われる場合は、自宅に避難する前に玄関前や勝手口前で汚染した服を脱ぎ、またペットも一緒に水道ホースにより洗い流します。
6、自宅避難の場合は換気扇やエアコンを消した状態で外気を遮断し、48時間から72時間は外出せず、ラジオなどで情報を聞きながら、ペットと一緒に過ごすことが望ましいと思います。そのためには、ペットのトイレや水、フードなども最低3日分は備蓄された方がいいと思います。
私は獣医ではないので獣医学的なことを書けませんが、必要があれば下記の原子力規制庁が公表している「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」のデータを印刷し、掛かりつけの獣医へ持参して、ご自身のペットに応じた服用可能な安定ヨウ素剤の服用等の量などのアドバイスを受けるなども考慮されるといいかもしれません。
■安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって(原子力規制庁 原子力災害対策・核物質防護課)
https://www.nsr.go.jp/data/000024657.pdf
下記の総務省消防庁が発表した資料では、「核兵器攻撃(放射性物質を用いた攻撃を含む)」時の際の避難のポイント(8ページ)のなかで、避難に当たっては、風下を避け、手袋、帽子、雨ガッパ等によって放射性降下物による外部被ばくを抑制するほか、「口及び鼻を汚染されていない タオル等で保護することや汚染された疑いのある水や食物の摂取を避けるとともに、安定ヨウ素剤の服用等により内部被ばくの低減に努める必要がある」 「汚染地域への立入制限を確実に行い、避難の誘導や医療にあたる要員の被ばく管理を適切にすることが重要である」と安定ヨウ素剤の服用が紹介されています。
■核兵器攻撃(放射性物質を用いた攻撃を含む。)総務省消防庁
http://www.fdma.go.jp/html/intro/form/pdf/kokumin_hinan_02_s2-1.pdf
※8ページの「対応」10行目中央右に安定ヨウ素剤の服用が紹介されています。
もちろん、飼い主の方が助からないとペットも困りますので、まずは、下記のような資料など新しい文献を参考に個人が身を守るための予防と対策を研究されてみて下さい。
■災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編(松本市)
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/kurasi/bosai/torikumi/bosai_keikaku/iryou/m-r-m_nuclear-hazard-volume.files/g_manyual_27.3.pdf
これからどのような展開になるのか予測できませんが、「何もないときにベストを尽くして、有事の際に身を守る」のが防災や危機管理の原則だと思います。
今回何も起こらなくても北朝鮮が核実験を継続し、これから先、何度も今回のような事態になるとも限りません。
どうぞ、何もないことを祈り、平和に解決できますように。
■ペットの救急法「ペットセーバープログラム」
〜助かる命を助けるために〜
http://petsaver.jp
info@petsaver.jp
(了)
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方