アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
12月に入りましたね。今年も残すところあと1ヶ月。クリスマスのちょっとしたプレゼントや、お世話になった人への年末年始のご挨拶用として、防災用ホイッスルはいかがでしょうか?
「ホイッスルを持っていることがきっかけで、お友達と防災について語ることが増えました!」という感想をいただくことが多いホイッスルです。「共助」など難しい専門用語を語らなくても、防災についてまわりに広げ、協力しあえる関係づくりの一歩になるのがステキと思っています♪
防災用にホイッスルが提唱されたのは、1995年の阪神・淡路大震災後でしたので来月で22年目。20年以上も語られてきたので、ホイッスルを毎日のカバンに取り付けていますという方に出会う機会も増えてきました。
でも大学で講演すると、学生にとって阪神・淡路大震災は生まれる前の出来事です。イメージするのも難しく、なんとなく防災といえばホイッスルだけど「そういえばなぜ?」と肝心なことがすっかり抜け落ちてきている気配も感じるこの頃です。
そこで今回は、なぜ、ホイッスルなの?ということについてお話しします。
阪神淡路大震災の時、1時間以内に亡くなった方は3842名。死因で最も多かったのが「圧迫死」でした。潰れた家屋や家具の下敷きになって、きっと圧死だったのだろうと想像される方も多いことと思います。しかし今年、NHK取材班がビッグデータを分析したところ、圧死は8%。過半数を占める61%の原因は「窒息死」であったことがわかりました。
■「震度7 何が生死を分けたのか」~埋もれたデータ 21年目の真実~
(2016年1月17日報道NHKスペシャル)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160117
(上記内容は書籍化もされています。Amazonの紹介ページ。)
詳しくは本をお読みいただきたいですが、足などに重たい荷物が直撃した場合は骨折ですみますが、胸や腹部など横隔膜が圧迫されると呼吸ができなくなる「外傷性窒息」で亡くなった方が多かったとのことです。
この外傷性窒息は、骨折するほどの重さは必要なく、体重の5倍くらいであれば窒息に至るとのこと。さらに地震後の証言から、がれきの下で助けを求める声が聞こえた話も記載されています。すなわち、地震の後にすぐに亡くなったというよりも、しばらく生存していた方もいらっしゃるということです。
こんな時には地域や自宅の耐震、そして家具の固定が一番の対策であることは言うまでもありません。けれど自宅の対策はとれていても、地域の対策が遅れているところも多くあります。また、上記の事を日常の中で忘れないためにも、そして少しでも生存率をあげていただくためにも、自分の居場所を知らせるホイッスルを身近に持っていただきたいです。
また、外傷性窒息に至らなくても、クラッシュ(挫滅)症候群という現象もあります。
クラッシュ症候群(crush syndrome)
四肢の筋肉が持続的に長時間圧迫を受け(クラッシュ外傷)、圧迫解除後に起こる全身障害。日本では1995年の阪神・淡路大震災の際に、倒壊した家屋の下敷きになったり、がれきに挟まれたりして傷病を負った人に多発したことで認知された。
また、2005年のJR福知山線脱線事故による負傷者についてもこの症状が問題となった。助け出され圧迫が解かれた際に、筋組織(骨格筋)が破壊され血中に大量のミオグロビンなどが放出されて横紋筋融解症を呈し、さらに急性腎(じん)不全を合併したり、高カリウム血症や脱水による循環不全などをきたしたりして死に至ることもある。
(コトバンクから抜粋。
https://kotobank.jp/word/クラッシュ症候群-485599)
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