台風15号、首都圏を直撃(写真:アフロ)

「いったい停電はいつまで続くのか?」「長引くことが分かっていれば動きようがあったのに」… 台風15号の影響による長引く停電の復旧作業に、怒りや戸惑い、やるせなさを感じている方は多いだろう。

当初、東京電力は11日中の完全復旧を掲げていたが、想定以上に被害が大きく、完全復旧は13日以降になる見通しだということが改めて発表され、見通しの甘さが露わになった。熱中症が原因とみられる犠牲者も発生し、住民の生活は厳しさを増している。発表の方法に問題がなかったのか? リスクコミュニケーションの視点から検証してみたい。

見通しか、目標か

見通しの甘さは、JR東日本にも共通する。9日始発から午前8時頃まで運転を見合わせるとアナウンスしていたが、路線上の倒木などで運転再開が午前10時頃まで延期され、同社は「乗客の利便性を考慮し、倒木などのリスクも考慮して午前8時というめどを示したが、想定より台風の進みが遅かった」とコメントしている(日経新聞電子版9月10日付け記事)。

昨年、首都を直撃した台風24号でもJR東日本は首都圏の在来線を始発から一部を除き通常運転とする方針を示していたが、一部区間では運転再開が遅れ、混雑を引き起こした。

ちなみに、同年9月6日の北海道胆振東部地震では、ブラックアウトが起きた後、世耕弘成経済産業大臣は北海道電力に数時間以内に復旧のメドを立てるよう指示したが、後日、北海道電力は全土の電力復旧には1週間以上がかかる見通しを示した。