2016/07/01
噴火リスクにどうそなえる?
企業の対策④ 保険戦略
編集部注:「リスク対策.com」本誌2013年1月25日号(Vol.35)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年7月1日)
地震保険に入っていれば、噴火による物的被害は基本的に補償される。例えば、溶岩や噴石、火砕流などにより建物が被災した場合は、支払限度額を上限に、損害額が支払われる。ただし、噴火の場合は、引き起こされる事象が多岐にわたるため、マーシュブローカージャパンの中澤氏は保険会社側と具体的にどのような被害が対象になるかを、一度確認することを勧める。「降灰により建物の上特にに積もった灰が、雨によって重くなり建物の屋根が壊れた場合」「空調機器が灰を吸い込んで壊れた場合」「コンピューター機器が灰を吸い込んで壊れた場合」「灰により下水や河川がつまり洪水被害が出た場合」など、噴火が直接起因するのではなく、間接的な事象により被害を受けるケースについては、保険会社の認識を事前に確認しておいたほうがいい。
さらに、火山噴火の場合は「降灰により停電が起き、長期の間、生産活動ができなくなる」「航空機が飛ばなくなって部品等の調達が途絶える」など、物損害を伴わない被害も考えられる。 中澤氏によれば、事業の中断による営業や生産活動の停止などによる売り上げの減少は、地震特約に「利益損失の補償」を追加していないとカバーされない。注意が必要なのは、「利益損失の補償」に関しても、物損害が出ていない場合には、補償範囲には含まれないということだ。 以下、物的被害が出る場合と、物的被害を伴わない場合について、保険上で考慮すべき点をまとめてみた。
噴火リスクにどうそなえる?の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方