2019/07/23
本気で実践する災害食
■B病院の災害時の食事マニュアル
次に、この病院の災害時の食事のマニュアルを紹介します。
災害時に飲まず食わずのまま生き続ける人は一人もいません。従って、病院の中でも以下のように、Ⅰ~Ⅳの全てのグループに食事の用意をしなければなりません。特に病院では病状により食べ物の「適性」が違うので、その特殊性を重んじた食事の提供が求められます。
通院者への配慮
B病院に比べて、A病院に欠けているのは災害時に病院内に滞留する通院者への配慮です。各診療科の廊下で診察を待つ人は、昼間ですと相当数いるはずです。運悪く、バス、電車などの交通手段が途絶えれば、帰宅困難者になる可能性があります。場合によっては病院で一夜を過ごすことになるかもしれません。食べ物はもちろんですが、寒い時期なら毛布、暑い時期なら熱中症対策、さらにはトイレの準備など、具体策が必要です。各階に置かれた自動販売機は災害時に役立つ貴重な備蓄庫と考えられますが、果たして有効な飲み物が配備されているのでしょうか? そうした細かな点まで平時から配慮しておくことが危機管理です。自販機の内容やデザインが危機管理用に設定されている例を参考のために挙げておきました(写真)。
Q&A
Q. 両病院とも備蓄食料と飲料水は3日間ですが、4日目からはどうなるのでしょうか?
A. よい質問です。確かに3日間では復旧しませんね。内閣府は今、「1週間分」と言っています。しかし、これでも足りません。1カ月間ぐらい不自由です。ライフラインが停止しているとなおさらです。広域災害では救援が難しい場合もあるので、できるだけ多く備蓄をするように心掛けましょう。
(了)
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方