有効な事前対策、脆弱性診断
閉鎖されたシステムでも油断は禁物

中島 豊
1998年にアライドテレシスに入社。ネットワークスイッチの開発経験を経て、マーケティング部門に異動。VoIP、データセンターネットワーク機器企画を行った後、企業向けSDNの新企画(Secure Enterpise SDN)を立ち上げ、現在のサイバーセキュリティ戦略室で邁進中。
2019/07/01
企業よ、サイバーリスクに備えよ
中島 豊
1998年にアライドテレシスに入社。ネットワークスイッチの開発経験を経て、マーケティング部門に異動。VoIP、データセンターネットワーク機器企画を行った後、企業向けSDNの新企画(Secure Enterpise SDN)を立ち上げ、現在のサイバーセキュリティ戦略室で邁進中。
今まで当連載では、ハッキングやマルウェア感染に遭ったとき、またその後の感染拡大を防ぐ対策を中心にご紹介してきました。今回は事前に行う対策についてお話しします。
まずは自分たちの使っているシステムやネットワークが安全かどうかのチェックが必要になります。これが脆弱性診断です。人間の体で例えると健康診断のようなものです。
まずは、脆弱性の説明をしましょう。人間でいうならば風邪をひきやすい要因、薄着であるとか、食生活が乱れるといったことになります。これを一般企業システムに置き換えると、脆弱性とはハッキングされやすい環境、情報漏えいが起きやすい状態を指します。一般的に脆弱性はセキュリティホールとも呼ばれ、それは公開サーバーのソースコードやサーバープラットフォームなどに潜んでいます。この脆弱性が発見されると各メーカーはアプリケーションを修正し、更新プログラムを配布します。
次に診断箇所について説明します。これも人間の体で例えるならば、頭、目、胃や腸、さまざまな部位が診断箇所になります。一般企業システムではどうでしょう? ウイルスやサイバー攻撃を受けやすい箇所もしくは機密情報を取り扱っている部署・システムなどに相当します。具体的には下記のような箇所が挙げられます。
・社外Webサイト
・開発製品やシステム(販売製品など)
・各種社内サーバー(DNSサーバー、ファイルサーバー、開発サーバー)
・業務管理システム(受発注システムなど)
・ネットワーク機器
・社員PC、USB
・スマートフォン など
脆弱性診断の必要性は、自分たちのシステムやネットワーク環境の現状を知るためです。脆弱性がシステムのどこにあるのかを知るために診断を行います。診断結果による脆弱性の内容と場所を把握することにより、適切な対策を講じることが可能となります。
言い換えると、診断をせずにやみくもにセキュリティ対策を行った場合、不必要な箇所に対策を施してしまい、対策が本来必要なところへの対応ができないなど、無駄な投資が発生してしまう可能性があります。
また、セキュリティ診断は定期的に行う必要があります。皆さんもご存じかと思いますが、マルウェア、標的型攻撃などの手法は常に進化しています。毎月、もしくは4半期に1回など定期的・継続的な診断を行い、脆弱性を知る必要があります。
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