鬼怒川が決壊し大きな被害が出た常総市

炊き出しで一番困ること、それは現地を知らず、情報がないまま、手探り状態で現地へ向かう、不確かさです。これを埋めてくれる、いわば仲人役の介在が必要ですが、被災地は混乱状態でそんな余裕はありません。ところが常総市へ赴いたとき、初めて素晴らしい仲人役に出会うことができました。一部始終「お膳立て」ができていて驚きでした。

それは1本の電話で始まりました。私が一緒に活動しているボランティアの代表(大和重工株式会社の社員)が、当時、全国からのボランティアの受け皿の窓口となっていたNPOのボランティアセンターに炊き出しをしたい旨を電話しますと、待ち受けていたのは仲人「受援・じゅえんの達人」とも呼ばれている認定NPO法人茨木NPOセンター・コモンズ代表理事の横田能洋氏でした。炊き出しに出掛けようとするボランティア(助援者)に至れり尽くせりで世話を焼き、結果として最大限の援助を私たちから引き出したのです。この様子を、後世に伝えたいと思います。

常総市での炊き出し体験

2015年9月10~11日にかけ、常総市は鬼怒川の堤防決壊などにより、市の面積の半分が浸水しました(正確には2015年9月10―11日にかけて関東・東北地方で発生した豪雨災害によるもの)。当初、避難所は26カ所でしたが、「のんびり避難所に座っている場合ではない」「水が引いたらさっさと家に帰って一刻も早く暮らしを立て直さなければ」という住民の思いから、2カ月後の11月6日には避難所は6カ所、避難所生活者は263人にまで減りました。
さて、彼らの食事はどうなっていたのか? 
同年11月6日、私たち一行は当地で炊き出しを実施しました。

ここからが本題ですが、炊き出しを申し込んだ電話の1本目から、私たちは受援の素晴らしさ、進化を見せつけられました。受け付けをしたのは冒頭紹介した通り、市内にあるNPO法人が設置したボランティアセンター事務局です。市が行ったのではありません。