名古屋工業大学大学院教授 渡辺研司氏

社会は個別組織でだけ成り立ってるわけではなくて、いろいろな部品から1つの製品が作られているように、さまざまな企業がサプライチェーンでつながっている。これを相互依存性と呼ぶが、サプライチェーンだけではなくて、社会経済活動を支えている電気やガス、水道、通信、金融などのインフラストラクチャー、さらには、法体系や行政機能などいくつもの階層が重なり依存しあって1つの社会を形成している。

こうしたネットワーク型社会により、分業化が進み、効率性が向上していることは良いことだが、一方で、何か障害が発生したり、途中のサプライチェーンのラインが分裂した瞬間に、ドミノ倒しのように、広い範囲に障害が波及してしまう。

そこで、レジリエンスという考え方が必要になる。今、政府では「強靭化」と訳しているが、本来はしなやかな復元力、弾力性のある回復力というような意味。もう少しわかりやすく言えば、被害を受けることを前提に、結果が元と違うことになったとしても自分の進むべき方向に立ち上がり進んでいくという、打たれ強さということになる。