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結核とは人型結核菌(結核菌)の感染が直接の原因となって起こる主として呼吸器系の慢性疾病です。新感染症法では二類感染症に分類されています。結核は、結核菌が侵入して増殖した臓器の炎症から始まります。結核菌は、飛沫感染あるいは空気感染により肺に侵入、増殖、結核特有の病巣形成する事例が多く(肺結核)、肺結核が全ての結核の約8割を占めます。一方、肺以外のいろいろな臓器でも結核菌は増殖して病巣を形成します。例えば、骨や関節でも菌が増殖して病巣ができますが、背骨にできるのが「脊椎カリエス」です。腎臓や膀胱にも病巣が形成されます。時として喉頭、腸、腹膜、眼、耳、皮膚、生殖器に病巣を作ることもあります。

結核菌に感染している人が高齢を迎えたとき、あるいは何らかの原因で強いストレスなどがかかったとき、もしくは免疫抑制剤を服用していたなどの理由により免疫不全に陥り、結核菌がリンパや血流を介して原発の病巣から全身に広がってしまうことがあります(粟粒結核)。その結果、最悪の場合、結核菌が脳まで到達して、脳を包んでいる膜(髄膜)に病巣を作ることによって結核性髄膜炎を引き起こすことがあります。このような場合、快復を期待することが困難になることが多いようです。

結核菌群には、人型結核菌(結核菌)の他、牛型結核菌など7種類の菌種が知られています。これらの結核菌群は人獣共通感染症を引き起こすと考えられていますが、人に対して最も強い病原性を示すのは人型結核菌、すなわち結核菌です。結核は人獣共通感染症の一つです。