小田急町田駅で「メガホンヤク」による多言語での説明を聞く外国人参加者

東京都は21日、町田市と合同帰宅困難者対策訓練を実施した。外国人65人を含む約500人が参加。多摩地区でM(マグニチュード)7.3、震度6強の地震が発生した想定で、JR・小田急町田駅や周辺の一時滞在施設などで訓練を行った。5回目にして区部ではなく多摩地区で初の合同訓練で、さらに都県の境を越えて神奈川県相模原市も協力した。

鉄道や通信といった企業も協力。小田急町田駅では、新宿駅から箱根湯本駅に向かう特急ロマンスカーが地震で停車した想定で、外国人乗客を誘導。パナソニックの翻訳拡声器「メガホンヤク」を用いて、英・中・韓の3カ国語で一時滞在施設に案内する旨の誘導を行った。

一時滞在施設では住民向けに安否確認などの説明が行われた

一時滞在施設のひとつである「ホテルラポール千寿閣」には約50人の参加者が訪れ、受付後に備蓄品を受け取った。その後、都と町田市、NTTドコモとKDDIによる説明会を実施。ドコモやKDDIからは施設に置かれる無料充電器や無料Wi-Fiの説明が行われた。都からは電話会社の災害用伝言板や「東京都防災アプリ」を用いた安否確認の方法の説明のほか、二次災害の防止や多数の帰宅者が道路をふさぎ救助作業の妨げにならないよう、発災後の移動を控えるように呼びかけが行われた。

町田駅周辺での帰宅困難者の発生想定は1万2268人だが、一時滞在施設は公共8、民間5の13施設で1万4800人分を確保している。うち先述した千寿閣と「町田ボウリングセンター」の民間の2施設は相模原市内の施設。町田駅は相模原市との境に位置している。相模原市側の施設では町田市と相模原市の両市と帰宅困難者受け入れの協定を結んでいる。両市では以前も合同訓練を行っており、災害対策で連携を密にしているという。

訓練後の講評で都の多羅尾光睦副知事は首都直下地震で都内において約517万人の帰宅困難者が出る可能性を指摘したうえで、「公助は大事だが、自助・共助も重要。地域や企業も含めた総合的な取り組みが実を結ぶ」と述べた。町田市の石阪丈一市長は「寒さや雪、暑さなどが考えられるが、悪条件でも対応できる基礎はできたと思う」と語った。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介