2024/11/25
防災・危機管理ニュース
金融庁が人工知能(AI)を活用して業務の効率化を進めている。今夏に各部署が保有している金融機関のヒアリング文書を高速検索するシステムを導入。自然言語処理技術を用いたAIが内容を分析し、要約する機能も持たせた。今後、国会答弁に向けて準備した文書を検索できるシステムも稼働させ、答弁書の作成などを効率化する。
金融庁の職員が日々、金融機関の担当者らから聞き取った内容を記録した膨大な文書には、銀行の経営状態などの情報も含まれ、機密性が高い。同庁はこれらの文書を庁内サーバーの各課・室の共有フォルダに保存しているが、これまで高速に検索できるシステムがなく、一つ一つファイルを探さなければならなかった。
新たなシステムでは、起動時に利用者が所属する課・室の共有フォルダに保存された文書を、いったんすべてパソコン内に読み込むため、高速に検索できるという。無関係の部署の職員はメモを閲覧できないようアクセスが制限されているほか、パソコンの電源を切れば読み込んだデータが消える仕組みで、不正持ち出しのリスクも低い。
システムは入庁10年目の結城海月係長が企画し、民間のIT企業から出向している山田翔平専門官の協力を得て完成させた。結城係長は自身も過去の文書を探すのに苦労していたといい、「みんな同じ課題を抱えているのではないかという問題意識で思い付いた」と話した。
金融庁は、今夏公表した今後1年間の重点施策をまとめた金融行政方針の中で、民間での健全なAI活用に加え、庁内でもリスク分析などへの活用を進める姿勢を示している。28日召集の臨時国会に合わせて、国会答弁の関連文書の検索システムを試験導入する方針だ。
〔写真説明〕ヒアリング文書の検索システムを示す金融庁の結城海月係長(左)と山田翔平専門官=10月11日、東京・霞が関の同庁
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方