東京都は、避難所における雑魚寝状態を解消するため、市区町村向け財政支援策を2025年度当初予算案に盛り込む方向で検討に入った。首都直下地震が発生すれば、避難所に身を寄せる人は最大で約200万人に上ると想定する中、避難所の生活環境を改善し、都市としての災害対応力を向上させる狙い。避難者のペット同行を可能にする取り組みも後押しする。
 各地の災害では、被災者が体育館の床で雑魚寝する姿が見られるなど、生活環境の厳しさが課題となっていた。今年1月に発生した能登半島地震でも、同様の問題が生じた。このため都議会からも、都内での災害に備えて「避難所運営を改めるべきだ」との声が上がっていた。避難所の運営主体は市区町村だが、関連する指針は都が策定しており、既に改定作業を進めている。
 都はこれまで、消火器の設置や携帯トイレの備蓄、避難所におけるWi―Fi(ワイファイ)環境整備を後押しするため、市区町村に補助をしてきた。25年度からは、補助金を充てられる対象事業を拡大。避難所での雑魚寝解消やペット同行、温かい食事の提供に向けた取り組みにも活用できるようにする。具体的にどういった経費を認めるかは、今後調整する。
 既存の枠組みでは、消火器の設置促進は3分の1、携帯トイレの備蓄などは2分の1を補助してきた。25年度から支援対象となる事業についても、都の負担割合を検討する。 
〔写真説明〕地震発生後、避難所で過ごす女性=2018年6月、大阪府高槻市

(ニュース提供元:時事通信社)