2024/10/25
防災・危機管理ニュース
国土交通省は、豪雨などの自然災害が全国で激甚化・頻発化していることを受け、土石流や土砂崩れの恐れがある「土砂災害警戒区域」の指定外で起きた被害の実態調査に着手する方針を固めた。今年発生した人命に関わる土砂災害を詳細に検証し、現行の指定要件の見直しや項目追加の必要性を検討。気候変動の影響も踏まえ、被害の軽減と住民の安全確保に努める。
調査では、年末までの1年間に警戒区域外で死傷者が出たり住宅が全半壊したりしたケースを対象に、未指定の理由などを検証。都道府県と連携し、大きな被害をもたらす地形や気象条件などを分析する。
国交省によると、1月の能登半島地震で発生した土砂災害455件(6月時点)のうち、80件が警戒区域外で発生。能登では9月に起きた大雨でも区域外で被害が出た。今夏には松山市や愛知県蒲郡市でも豪雨により区域外で土砂崩れが起きており、こうした事案を調査対象に含める。
警戒区域は、土砂災害防止法に基づき都道府県が指定する。「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地滑り」の三つの現象に分類され、都道府県はそれぞれの要件を満たす崖や谷を危険箇所として抽出した上で、基礎調査を経て具体的な区域を指定する。これを受け、市町村が土砂災害ハザードマップで住民に周知している。
ただ、国交省によると、2023年に発生した人命に関わる土砂災害は1351件。うち約15%は区域外で発生していた。
国交省は今後、調査を毎年実施し、検証データを蓄積する方針。局地的な大雨で想定を超える土砂が民家を押し流すなど、気候変動の影響により、現行法が想定する3項目以外の現象も発生しており、追加すべき項目があるかどうかも探る。
〔写真説明〕松山城の城山であった土砂崩れの現場=7月29日、松山市
〔写真説明〕松山城の城山であった土砂崩れの現場=7月29日、松山市
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 土砂災害
防災・危機管理ニュースの他の記事
- 貧困削減、足踏みに危機感=SDGs目標未達へ―世銀
- パートナー明確化で「拡大」=ロシアBRICS閉幕―プーチン氏、国連総長と会談
- 土砂災害、警戒区域外の被害検証=豪雨激甚化で要件見直しも―国交省
- 北朝鮮部隊がロシア西部到着=プーチン氏、派兵否定せず
- G20、「保護主義に抵抗」=世界経済に下振れリスク―財務相会議閉幕
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/22
-
-
-
-
-
-
なぜコンプライアンスの方向性はズレてしまったのか?
企業の不正・不祥事が発覚するたび「コンプライアンスが機能していない」といわれますが、コンプライアンス自体が弱まっているわけではなく、むしろ「うっとうしい」「窮屈だ」と、その圧力は強まっているようです。このギャップはなぜなのか。ネットコミュニケーションなどから現代社会の問題を研究する成蹊大学文学部の伊藤昌亮教授とともに考えました。
2024/10/10
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/10/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方