被災地支援に取り組むボランティア団体「チーム中越」(新潟県長岡市)は、23日で発生20年となった新潟県中越地震で受けた支援の「恩返し」をしようと2008年、複数の支援団体が合同で立ち上げた。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などで続けてきた活動のカギは「つながり」にある。
 チーム中越の河内毅理事らによると、中越地震では、個々の支援団体の連携不足から、必要な物資が必要な時に届かなかったり、個々の団体がそれぞれに被災者に困りごとや必要な物資を尋ねて回り、被災者側が困惑してしまうようなこともあったという。
 苦い経験を教訓に、チーム中越では、参加団体が互いの活動を定期的に報告し合う場を設けている。定期的な集まりは11年の東日本大震災での支援で生き、河内理事は「どの団体が何を得意とし、どんな人たちを対象に支援しているかを把握しながら活動できた」と振り返る。
 そんなチーム中越は、被災者自身の「主体性」も重視している。「中越地震では、高齢者が避難先で主体的に動く機会を失い、足腰が立たなくなってしまう事例が多発した」と河内理事。一方、他の被災者と交流したり、支援する側に回ったりした高齢者は「生き生きとしていた」と話す。
 能登半島地震の被災地では、避難所内に喫茶スペースを設置した。被災者同士が情報交換し、語り合う場は、被災者自身が避難所運営などに取り組むきっかけになるのでは、との思いからだ。
 「中越の復興は被災した地域の人たちが主体的に考えることで実現した」と河内理事。「復興支援は、被災者を主役に、みんなで考えることが大切」と強調した。 
〔写真説明〕チーム中越の河内毅理事(右)と野村卓也事務局長=8日、新潟県長岡市

(ニュース提供元:時事通信社)