2024/10/21
防災・危機管理ニュース
【カイロ時事】イスラエル軍は20日夜から21日未明にかけて、レバノン国内の金融機関の関連施設数十カ所を空爆した。イスラエル軍が21日、発表した。軍は金融機関について、イスラム教シーア派組織ヒズボラの活動を「資金面で支えていた」と主張。イランの支援を長年にわたり受けてきたヒズボラの資金源を根絶する狙いがある。
報道によると、金融機関は米政府の制裁対象で、サウジアラビアから「テロ組織」に指定されている。ベイルート南郊を中心にレバノン国内に30以上の「支店」を開設し、イランから多額の送金を受けているとされる。イスラエル軍は声明で、ヒズボラは金融機関に数十億ドル(数千億円)の資金を有し、武器購入や戦闘員の給与に充てていたと説明した。
イスラエル軍は住民に退避を勧告し、ベイルート南郊だけで十数カ所に空爆を加えた。イスラエルのカッツ外相は「ヒズボラが崩壊するまで攻撃を続ける」とX(旧ツイッター)に投稿した。レバノン南部ではイスラエル軍による国連レバノン暫定軍(UNIFIL)への攻撃も続いており、UNIFILは20日、監視塔が破壊されたと発表した。
早期の戦闘停止を目指すバイデン米大統領は21日、特使をレバノンに派遣。米ネットメディア「アクシオス」によれば、イスラエルは特使のレバノン入りに先立ち、米側に「停戦条件」を記した文書を提示した。イスラエル側はこの中でレバノン南部や同国領空での軍の活動容認を求めており、米当局者はアクシオスに、レバノン政府が受け入れる可能性は低いと指摘した。
イスラエルと米国はまた、イランによるイスラエルへの報復攻撃に対する警戒を強めている。ロイター通信によると、オースティン米国防長官は21日、配備を急いでいた米軍の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」がイスラエル国内で「配置に就いた」と述べた。
〔写真説明〕21日、レバノンの首都ベイルート南郊で、イスラム教シーア派組織ヒズボラに関連する金融機関を標的とした空爆で損壊した建物に集まった人々(AFP時事)
〔写真説明〕20日、対イスラエル国境に近いレバノン南部で、イスラエル軍の空爆後に市街地から立ち上る煙(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方