【北京時事】中国広東省深センで日本人学校の男児が刺殺された事件から18日で1カ月。中国では日本人が巻き込まれる殺傷事件が続き、在留邦人は不安を募らせている。日本企業からは「中国赴任希望者はさらに減るだろう」(北京の電機大手)と、中国ビジネスへの影響を心配する声が出ている。
 「来年度から事務所の日本人は一人になるかもしれない」。上海駐在の30代機械メーカー社員はこう嘆いた。同僚が3月末で帰国する予定だが、後任が事件後に辞退。代わりがまだ決まっていないからだ。
 日本の外務省によると、中国在留邦人数は大規模反日デモが起きた2012年をピークに減少に転じた。翌13年の減少率は10.2%と突出して大きく、その後も減る傾向は変わっていない。
 外務省は中国の大半の地域について「危険レベル0」としているが、「違和感がある」(日系商社)との声もある。東京商工リサーチの調査によると、中国進出企業の8割超が事件後、駐在員に安全面で注意喚起を行った。新規の駐在停止や家族の帰国を促す企業もあったという。北京に駐在するメーカー幹部は「中国ビジネスが成り立たなくなる恐れがある」と、影響の長期化を憂慮している。 
〔写真説明〕北京首都空港のロビー=2月

(ニュース提供元:時事通信社)