2024/10/19
防災・危機管理ニュース
【香港、北京時事】中国南部・広東省深セン市で登校中の日本人男子児童(10)が刃物で刺され死亡した事件は、18日で発生から1カ月となった。男児が通っていた日本人学校は通学を再開したが、中国側は依然として犯行動機を明らかにしていない。事件に関する情報は乏しく、児童や保護者の不安は払拭されていない。手探り状態の安全対策を余儀なくされている。
◇反日、景気低迷影響か
「在留邦人の不安が急速に高まっている」。外務省の岩本桂一領事局長は17日、北京で中国外務省の※(登にオオザト)励次官らと面会し、事件に関する説明を求めた。事件が起きた9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件から93年に当たる。反日感情を抱いた容疑者が日本人を意図的に狙った可能性を排除できない。しかし、中国側は司法手続きが進む中で日本側に説明すると言うだけで、情報開示に消極的だ。
中国では公共の場で無差別に人を切り付ける事件が多発している。9月に上海市のスーパーマーケットで男が周囲の人を刃物で切り付け、18人が死傷。今月8日には広東省広州市で男が児童ら3人に切り付ける事件が起きた。上海の事件は個人的な金銭トラブルの不満を解消するのが動機だったという。景気低迷による経済的な困窮が一連の事件に影響しているとの見方もある。
◇ランドセル使用自粛
事件後、オンライン授業に切り替えた深セン日本人学校は14日、対面授業を再開した。登校は、送迎バスや車の利用が基本。バスの路線を増やしたほか、配車アプリを使ってタクシーで送迎できる措置を取った。バス停には警備員を配置し、警備態勢も強化した。だが、保護者らからは「眠れない」「外に出るのが怖い」といった声が上がっている。学校側は、日本人と特定されることを防ぐためランドセルを使用しないよう呼び掛けている。
中国にある他の日本人学校でも安全対策に取り組んでいる。北京日本人学校は登下校時の警備員を増やした。以前は少し離れた場所で通学バスの乗り降りをしていたが、現在は校門前で行っている。日本人が多く住む北京のマンションでは、不審者が近寄るのを防ぐため敷地内に通学バスを乗り入れるようにした所もある。
〔写真説明〕日本人学校周辺で警備に当たる中国当局者=9月25日、中国広東省深※(ツチヘンに川)市
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方