【ニューヨーク時事】英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンなど欧米の研究者グループは9日、米南部を9月下旬に襲った大型ハリケーン「ヘリーン」について、気候変動の影響で発生確率が約2.5倍に高まっていたとする分析結果を発表した。風速は約11%、降雨量は約10%それぞれ増加し、被害が拡大したという。
 研究グループを率いた同大グランサム研究所のベン・クラーク博士は「人類が化石燃料を燃やし続ければ、米国はさらに破壊的なハリケーンに見舞われるだろう」と警鐘を鳴らした。
 南部フロリダ州から上陸したヘリーンは、ジョージア、サウスカロライナ、ノースカロライナ、テネシー、バージニア各州を通過。沿岸部で高潮被害を、内陸部では洪水を引き起こし、死者は230人を超えた。研究グループは、メキシコ湾の海水温が平均より約2度高かったことで、上陸の数時間前に勢力が急速に強まったとみている。
 分析では、地球が温暖化していなかった産業革命前と、それから気温が約1.3度上昇した現在の気候を比較。ヘリーンのように猛烈なハリケーンの発生確率は、もともとは「130年に1度」だったが、現在は「53年に1度」と約2.5倍に高まったと評価した。
 最大風速は秒速6.1メートル(約11%)上乗せされていたと推計。降雨量は約10%増え、こうした豪雨の発生確率も沿岸部では従来の「10年に1度」から「7年に1度」に、内陸部では「116年に1度」から「70年に1度」に高まったと指摘した。(了)

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