政府は11日の閣議で2024年版の「過労死等防止対策白書」を決定した。白書では、芸術や芸能関係のスタッフについて、過労死の認定ラインである「週60時間以上」で職場に拘束されている人の割合が35.2%に上る、との実態が明らかになった。
 単純比較はできないものの、全業種の就業者で実労働時間が週60時間以上の割合は5.5%にとどまっており、芸術・芸能スタッフの長時間勤務が際立っている。
 調査は昨年10~12月に、監督や脚本家、技術スタッフ、編集者といった芸術・芸能関係の職業に従事する488人に対して実施。仕事の関係者に「心が傷つくことを言われた」という人の割合は42.0%、「殴られた、蹴られた、たたかれた、または怒鳴られた」は22.3%だった。 
 取引上のトラブルの経験では、「仕事を受ける前に報酬額を提示されない」が51.0%に達した。芸術・芸能分野で働く労働者も含めたフリーランスが安心して働ける環境を整備する法律が、11月1日に施行される。発注事業者に対し、報酬額など取引条件の明示を義務付けるほか、ハラスメント防止の体制整備を求める。(了)

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