エレベーターの保守・点検を手掛ける株式会社i-tec24は4月28日、都内のマンション管理組合の依頼により、エレベーター閉じ込め救出訓練を開催した。

昨年12月の中央防災会議が公表したデータによると、首都直下地震が発生した場合、最大で約3万台のエレベーターが停止し、約1万7000人がエレベーターに閉じ込められる可能性があるという。2011年の東日本大震災では65台が閉じ込め被害にあい、3時間後には救出されたが、同社の防災担当営業で防災士の資格も持つ榎本明弘氏によると「首都直下地震が起きた場合、エレベーターメンテナンス会社の人員不足などからその100倍の救出時間も予想される」という。場合によっては1週間以上閉じ込められる場合も考えられ、高年齢者や乳幼児が閉じ込められた場合は生命の危険もある。

itec-24は、震災時にエレベーターに住民が閉じ込められた場合、基本的にはエレベーター内のインターホンを押して管理会社などに連絡し、救出を待つように指導しているが、長時間にわたり救出できない場合も想定し、マンションの住民による閉じ込め救助訓練を推進している。

訓練は、まず同社の指導のもとマンション住民がエレベーターの電源を切ることから始まる。停電時でも救助活動中に電気が復旧するとエレベーターが突然動き出す可能性があり、作業中の事故原因となる恐れもあるからだ。電源を切ったことが確認できたら、エレベーターの扉のカギを開ける人、扉を開く人、二人を支える人の3人1組となり、安全を確認しながらエレベーターの扉を開く。エレベーターが階の途中で止まっていることも考えられるので、脚立などを用意して中にいる人を救助する。マンションによって電源や鍵の位置などは変わるので、専門家や管理組合と協働した事前準備が重要だ。ある程度の閉じ込めを予想したエレベーター用の簡易備蓄キットを設置することも有効だという。

「特にマンションは高齢者や乳幼児も多いため、閉じ込めによる生命の危険も考えられる。住民参加型でエレベーター閉じ込めに対する事前準備をもっと行ってほしい」と、榎本氏は訓練の重要性を訴える。