2024/08/08
防災・危機管理ニュース
日向灘を震源とする最大震度6弱の地震発生を受け、気象庁は8日、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を初めて発表するとともに、専門家で構成する評価検討会(会長・平田直東京大名誉教授)を開いた。南海トラフ沿いで巨大地震が発生する可能性が「平常時と比べて相対的に高まっている」として、「巨大地震注意」の臨時情報を出した。
実際に発生した場合、大きな揺れや津波の被害が見込まれる関東から沖縄にかけての「防災対策推進地域」では、今後1週間、巨大地震に備える必要がある。あらかじめ避難する必要はないが、同庁などは避難場所や経路を確認したり、家具などを固定したりするよう呼び掛けた。
この情報は南海トラフ沿いで巨大地震が過去に繰り返し起き、短期間で続発した例もあることから導入された。ただ、必ず起きると伝える地震予知情報ではない。平田会長は記者会見で「世界の事例ではマグニチュード(M)7以上の地震発生後、1週間以内にM8級以上の地震が起きるのは数百回に1回ぐらい」と説明。それでも「普段より数倍、(地震が)発生する可能性が高くなった」と話した。
備えを呼び掛ける期間は、内閣府で防災対応を検討した際、社会的に受忍できる範囲との理由で「1週間」となった。巨大地震の可能性は徐々に低下すると考えられるが、1週間後にゼロになるわけではないという。
日向灘の地震は、気象庁が速報性を重視して計算する「気象庁マグニチュード(Mj)」で7.1だが、評価検討会は地震の規模をより正確に捉えられるモーメントマグニチュード(Mw)で7.0と判断し、巨大地震注意の発表条件が初めて満たされた。今回の震源は巨大地震の想定震源域の南西端にあるが、静岡県にかけてのどこでも、誘発される恐れがある。
南海トラフでは陸側プレートの下に海側プレートが沈み込んでおり、プレート同士の境界が急に滑ると大地震になる。今回の地震はプレート境界で起きており、他の地域にも影響する可能性がある。
〔写真説明〕南海トラフ地震臨時情報について記者会見で説明する評価検討会の平田直会長=8日、東京都港区
〔写真説明〕会議を行う南海トラフ評価検討会の平田直会長(左)と委員ら=8日午後、東京都港区(代表撮影)
(ニュース提供元:時事通信社)
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