2024/07/21
防災・危機管理ニュース
政府は、サイバー攻撃の兆候を捉えて事前に対処する「能動的サイバー防御」の導入に向け、国家行政組織法に基づく第三者委員会を設置する方向で検討に入った。独立機関が政府の運用を監視することで、憲法が保障する「通信の秘密」を侵す懸念を払拭する狙いがある。複数の関係者が20日、明らかにした。
能動的サイバー防御は、被害の未然防止のため、通信を常時監視。攻撃の予兆を検知すれば、相手方のサーバーに侵入し、無害化する措置を講じる。政府は有識者会議の検討を踏まえ、秋に想定される臨時国会で関連法の提出を目指す。
第三者委員会は政府への勧告権限を持ち、公正取引委員会や原子力規制委員会などと同様に高い独立性を確保する。政府がサイバー防御目的以外の情報を収集していないか監視する。
サイバー防御は、自衛隊や警察が連携して担う方向で調整している。自衛隊は既に自衛隊関連の情報システムの監視・防護に当たっている。自衛隊法を改正し、サイバー防御を新たな任務に追加する方針だ。警察庁も4月、重大なサイバー攻撃に対処する担当を「サイバー特別捜査部」へ格上げするなど体制拡充を急いでいる。
与党関係者は、機密情報を取り扱う資格者に関する国の制度「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」を念頭に、「資格を認定された者しか情報に触れるべきではない」と語った。
〔写真説明〕能動的サイバー防御に関する政府有識者会議に臨む委員(手前)ら=8日、東京・霞が関
(ニュース提供元:時事通信社)

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