【シリコンバレー時事】11月の米大統領選で復帰を目指すトランプ前大統領の陣営が、人工知能(AI)の規制や開発促進に向け、業界主導の機関創設を計画していることが分かった。バイデン政権の規制に反発し、トランプ氏支持を表明したIT集積地シリコンバレーの著名投資家・起業家らに配慮した形。大統領に返り咲いた場合、現政権の大統領令を撤回し、同計画を推進するもようだ。
 米紙ワシントン・ポストによると、計画では新機関がAIモデルの安全性などを評価し、システムを敵対的な外国勢力から守る役割を担う。現政権は大統領令により、開発企業などにAIの安全性試験を義務付けており、トランプ陣営は技術革新を阻害するとして批判している。
 「小さなテック企業には、トランプ氏(への支持)が正しい選択肢だ」。著名投資家ベン・ホロウィッツ氏は16日、X(旧ツイッター)上でこう表明した。同氏が共同設立したベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツはツイッターやフェイスブック(現メタ)などに投資してきた。
 大統領選を巡っては、電気自動車(EV)大手テスラやX運営会社を率いる実業家イーロン・マスク氏が、トランプ氏支持を表明済み。毎月4500万ドル(約71億円)を献金するとも報じられた。米民泊仲介大手エアビーアンドビーへの投資でも知られるデービッド・サックス氏はトランプ氏の資金調達を支援。15日の共和党全国大会に登壇し、現政権を非難した。
 シリコンバレーは多様性を重視する民主党支持者が多いことで知られ、ビジネスSNSのリンクトイン創業者で投資家のリード・ホフマン氏らはバイデン大統領を支持している。ただ、規制を嫌い、「小さな政府」を好む投資家も少なくない。こうした富裕層は、高所得者への課税強化などで現政権への不満を募らせており、トランプ氏になびいている。 
〔写真説明〕トランプ前米大統領=15日、ウィスコンシン州ミルウォーキー(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)