【パリ時事】７日行われたフランス国民議会（下院、定数５７７）総選挙の決選投票は即日開票の結果、政権が強行した年金改革の廃止などを訴えた左派野党連合が事前の予想を覆し、最多議席を獲得して勝利した。マクロン大統領の中道与党連合は第２勢力に後退。過半数を目指した極右野党・国民連合（ＲＮ）は選挙戦最終盤に失速した。
　開票作業は８日未明までにほぼ終了。仏各メディアによると、左派が約１８０議席（改選前１４９）、与党が約１６０議席（同２５０）、ＲＮが１４３議席（同８８）を確保した。
　左派連合の最大政党「不屈のフランス」を束ねるメランション氏は７日、「大統領は敗北を認めねばならない」と迫った。与党の選挙戦を陣頭指揮したアタル首相は同日、辞意を表明した。
　過半数に届いた陣営はなく、選挙後の政権の枠組みは不透明だ。パリ五輪の開幕を２６日に控え、アタル氏が当面首相を続ける可能性もある。
　ＲＮは６月３０日の第１回投票で過半数に達する勢いを示した。危機感を強めた与党と左派は２００超の選挙区で極右の対抗馬を一本化。決選投票で両陣営の支持票を１人の候補に集中する戦術を展開し、土壇場でＲＮを逆転した。
　左派は最低賃金の引き上げや富裕層・大企業増税を訴え、若者や労働者に支持された。ＲＮは移民排斥や治安改善を主張。一方、与党は過去７年間の政策が「庶民圧迫」と見なされ、苦戦した。
　マクロン氏は６月上旬の欧州連合（ＥＵ）欧州議会選でＲＮに圧勝を許し、解散・総選挙の賭けに出た。極右の躍進は防いだものの、与党の大敗を避けることはできなかった。ただ、マクロン氏は結果にかかわらず辞任しないと明言している。　
　有権者の関心は高く、投票率は約６６％と、２０２２年の前回総選挙を約２０ポイント上回った。（了）

７日、フランス西部レンヌで喜びをあらわにする左派野党連合の支援者（ＡＦＰ時事）
仏下院の勢力図

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