【ワシントン時事】国際情勢の分析を手掛ける米調査会社「ユーラシア・グループ」は6日、今年の「十大リスク」を発表した。米国を含む大国のリーダーシップが欠如した「Gゼロの勝利」をトップに挙げ、国際秩序を主導する国家の不在で経済危機や世界大戦が発生するリスクが高まっていると警告した。
 同社を率いる米著名政治学者イアン・ブレマー氏は長年にわたり、国際社会での「Gゼロ」時代の到来に警鐘を鳴らしてきた。6日のオンラインでの記者会見では「冷戦初期、または1930年代以来、地政学的には最も危険な年になる」と指摘した。
 2位には「トランプ支配」として、第2次トランプ米政権発足を挙げた。ブレマー氏は自国優先の「米国第一」を掲げるトランプ氏について「Gゼロ世界から生じる症状だ」と分析。トランプ氏の最大の強みである「予測不可能性」が不確実性やリスクを高めると強調した。
 このほか、3位にはトランプ政権下で中国との対立が再燃する「米中決裂」、5位には国際秩序を不安定化させる行動を続けるロシアの動向、6位には弱体化するイランを挙げた。
 経済面では、関税引き上げを中心とするトランプ氏の政策を4位、性能向上や規制緩和に伴い制御不能になって惨事を招く恐れがあるとして、人工知能(AI)を8位に入れた。
 

 ◇25年の十大リスク
1 「Gゼロ」の勝利
2 トランプ支配
3 米中決裂
4 トランプノミクス
5 ならず者国家続けるロシア
6 追い詰められたイラン
7 世界経済の窮乏化
8 制御不能な人工知能(AI)
9 統治なき領域の拡大
10 米国とメキシコの対立
(注)ユーラシア・グループ発表。 

(ニュース提供元:時事通信社)