能登半島地震に伴う石川県輪島市の大規模火災を踏まえ、総務省消防庁と国土交通省は5日、有識者検討会の報告書を公表した。今回の火災では大津波警報などが発令される中で初期消火が遅れたことが大きな課題とされた。報告書はこれを教訓に、津波が到達した後、隊員の安全を確保した上で、消火活動を再開させるための計画を事前に定めておくよう提言した。
 東日本大震災時の巨大津波を受け、現在の消防活動は「津波到達前に退避することを基本」としている。1月1日の能登地震で大津波警報などが出た同市では消火活動がままならず、観光名所「朝市通り」を含む市内約240棟が焼損。焼失面積は約4万9000平方メートルに上った。
 このため、報告書では、津波警報下で安全に消防活動を行うため、第1波以降の活動時間やエリア、退避場所を計画に盛り込むよう明示。計画の策定に当たっては、各消防本部に対し、地域の特性や過去の災害事例を考慮するなどし、定期的に見直すことも求めた。
 また、火災発生地点を早期に確認するため、ドローンや高所監視カメラなどを整備する必要性を強調。津波警報下での安全な活動に向け、放水銃を装備した遠隔操作型ロボットや、上空から消火するドローンの活用といった「消火活動の無人化」も促した。 

(ニュース提供元:時事通信社)