2024/06/30
防災・危機管理ニュース
能登半島地震の被災地では、今月中旬に真夏日を記録。気温上昇による熱中症が懸念され、高齢者が多い仮設住宅では見回りなどの取り組みも始まった。能登地震は7月1日で発生半年。本格的な夏を前に専門家は「細心の注意を払わなければいけない」と対策を急ぐよう求めた。
気象庁によると、石川県珠洲市と輪島市では6月12日、それぞれ最高気温が31.1度と32.7度の真夏日となった。その後も22日まで25度以上の夏日が続いた。
珠洲市では、市社会福祉協議会の職員が仮設住宅を回り、熱中症対策を呼び掛けている。同協議会の角井栄美さん(39)らは18日、全26戸が並ぶ仮設住宅を訪れ、住民に水のペットボトルなどを配布。受け取った80代女性は「水を飲んで気を付けたい」と応じた。
角井さんは「仮設住宅は室内に熱がこもりやすい。熱中症になって倒れてしまわないか心配だ」と表情を曇らせる。
輪島市でも同じ取り組みが始まった。28.4度を記録した19日、市から委託されたボランティア団体が門前地区の仮設住宅を訪問。水やタオルなどの物資を渡しながら、エアコンを使用しているかどうかなどを確認した。
入居者の多くは「エアコンを使っているので大丈夫」(90代女性)、「水分補給は小まめにしている」(70代男性)と対策を取っていたが、「夫が冷房の風を嫌がるので扇風機を使っている」(70代女性)、「エアコンは普段から年に何回かしか使わない。まだ大丈夫だ」(80代女性)と話す人もいた。
北陸学院大の田中純一教授(災害社会学)は「奥能登の仮設住宅では65歳以上の入居者が多い。電気料金は自己負担なので、出費を抑えるためにエアコンの使用を控える人も多い」と指摘。「冷房を利かせた集会所を開放して集まってもらう方法もある。隣同士やボランティア、行政など地域全体で住人の異変に気付ける仕組み作りが必要だ」と話した。
〔写真説明〕仮設住宅を見回り、熱中症について注意を呼び掛けるボランティア=19日、石川県輪島市
〔写真説明〕水を配布しながら仮設住宅を巡回する石川県珠洲市の社会福祉協議会の職員ら=18日、同市
(ニュース提供元:時事通信社)
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