2024/05/25
防災・危機管理ニュース
水産庁は漁業者の安全を確保するため、ライフジャケットを海上で常時着用するよう訴えている。夏に向け、着用を嫌う漁業者も増えるとみられ、「万が一、海に投げ出されたとき、命を守る効果は明らか」(同庁)と強調している。
農林水産省によると、全国の漁業就業者数は2022年に約12万3000人と、20年間でほぼ半減。高齢化は顕著で担い手不足が深刻化している。海を熟知しているベテラン漁師が多いが、漁船の事故は毎年、数百件発生している。
漁業者に限らず、船から海へ転落した場合、ライフジャケット着用の有無が、生死を分けることも少なくない。そこで国は18年、20トン未満の小型船の乗組者に対して着用を義務化。20トン以上の船は船員法によって、以前から着用が義務化されていたため、原則としてすべての漁業者への着用が義務付けられた。
水産庁によると、漁業協同組合を通じた聞き取りなどによるライフジャケットの着用率は、23年が全国平均で9割以上に達している。ただ、徳島県や兵庫県などで、やや着用率が下がるほか、「近年、実際に海中転落した漁業者の着用率は5割ほど」(同庁)というのが現状だ。
23年の海上における漁船の人身事故者数は合計252人(海上保安庁調べ)。このうち海中転落者は62人で、半数以上の38人が死亡あるいは行方不明となっており、プレジャーボートなど、他の船舶と比べて圧倒的に多い。
船上でライフジャケットを脱いでしまうケースもあることから、水産庁は漁業協同組合と連携し、海上で常時着用するよう呼び掛けている。一方、海保では、携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能をONにして乗船することや、ストラップ付き防水パックを利用し、通信手段を確保することも重要とPRしている。(了)
(ニュース提供元:時事通信社 2024/05/25-04:16)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/26
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方