世界的に森林が失われている背景には何があるのか(イメージ:写真AC)

■都会の「緑」の減少が止まらない

一昨年、明治神宮外苑の再開発で樹木1000本が伐採される計画が持ち上がる中、地域住民はもとより、アーティストや芸能人、超党派の国会議員や東京都議会議員の議員連盟なども合同で計画中止を求めるなど、多くの人々を巻き込む事態となった。一方、横浜市でも全面返還された緑豊かな米軍通信基地跡地を開発し、東京ディズニーランドに匹敵する規模で、次世代型テーマパークを核とした複合施設を建設する予定だという。

「都市部の遊休地を開発し、打ち出の小槌に転換することに何の問題があるのか?」との意見を持つ人も少なくない。しかし、環境的には温暖化のリスクをさらに悪化させる可能性がある。最もわかりやすいのは、樹木を減らすことで二酸化炭素の排出が増えると同時に、その吸収量が減少することだ。もっとも、お皿に添えたパセリ程度の緑しかない都会では、この影響は限定的と言えるかもしれない。

ヒートアイランド現象がさらに加速する可能性(イメージ:写真AC)

しかし、もう一つの影響はどうだろうか。それは気温の上昇がさらに加速することだ。東京や大阪、名古屋などの日本の大都市の平均気温は、この100年間で2.0~3.0℃上昇しているといわれている。主な原因は「ヒートアイランド現象」によるものだが、温暖化の影響にヒートアイランド現象による気温上昇が加わり、急速に温度上昇が進んでいる。その影響は熱い空気の逃げ場のない山がちな近県の盆地にも波及する。

気温の上昇が加速することにより、夏場は熱中症にかかる人が増え、建物や車から出るエアコンの排熱でさらに高温の空気が滞留することになる。まさに暑さと熱さの無限ループに陥りつつあるのだ。