総務省消防庁は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を使って、急病人やけが人を救急搬送する実証事業を今月23日から始める。患者本人が受診歴や服用している薬などを説明できない状況でも、救急隊員が現場でカードを読み取って必要な情報を入手し、最適な医療機関に搬送できるようにする。

 35都道府県の67消防本部で実施する予定。23日に神奈川県平塚市消防本部、兵庫県姫路市消防局、宮崎県都城市消防局の3消防本部で始め、準備が整い次第、残る64消防本部でも順次スタートする。期間は2カ月程度を想定している。

 救急現場では、患者本人や家族から受診歴などを口頭で確認しているが、症状によっては説明できなかったり、服用している薬を家族が把握していなかったりする場合も多い。

 実証事業では、患者の同意を得た上で、救急隊員がカードリーダーでマイナ保険証を読み取り、患者の医療情報を照会できる「オンライン資格確認等システム」にアクセス。閲覧した情報に基づき、受診歴のある病院に搬送したり、搬送先に持病を伝えたりして、救急搬送の迅速化・円滑化を図る。患者の意識がない場合は、例外的に同意なしでも閲覧できることにする。

 厚生労働省によると、マイナ保険証の利用登録件数は2024年3月31日時点で約7200万件。実証事業の結果を踏まえ、同庁は25年度中に全国での導入を目指す考えだ。同庁の担当者は「一人でも多くの人に日ごろからマイナ保険証を持ち歩いてほしい」と話している。

 ◇実証事業を始める消防本部

 マイナ保険証を使った救急搬送の実証事業を始める消防本部は次の通り。

〔5月23日から〕

【神奈川県】平塚市消防本部

【兵庫県】姫路市消防局

【宮崎県】都城市消防局

〔準備が整い次第〕

【北海道】札幌市消防局

【青森県】三沢市消防本部

【宮城県】仙台市消防局

【秋田県】能代山本広域市町村圏組合消防本部

【山形県】山形市消防本部、最上広域市町村圏事務組合消防本部

【福島県】福島市消防本部、会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部

【茨城県】笠間市消防本部、かすみがうら市消防本部、大洗町消防本部、筑西広域市町村圏事務組合消防本部、常総地方広域市町村圏事務組合消防本部

【栃木県】小山市消防本部

【群馬県】前橋市消防局、高崎市等広域消防局

【埼玉県】さいたま市消防局、埼玉東部消防組合消防局

【千葉県】松戸市消防局、成田市消防本部

【東京都】東京消防庁

【神奈川県】川崎市消防局、横須賀市消防局、茅ケ崎市消防本部、逗子市消防本部、秦野市消防本部、厚木市消防本部、伊勢原市消防本部、葉山町消防本部

【石川県】加賀市消防本部、能美市消防本部

【長野県】長野市消防局、飯田広域消防本部、木曽広域消防本部

【岐阜県】岐阜市消防本部

【静岡県】静岡市消防局、浜松市消防局、磐田市消防本部

【愛知県】名古屋市消防局、豊橋市消防本部、大府市消防本部、尾張旭市消防本部、衣浦東部広域連合消防局

【三重県】津市消防本部、四日市市消防本部、鈴鹿市消防本部

【滋賀県】彦根市消防本部

【京都府】京都市消防局

【大阪府】大阪市消防局

【奈良県】奈良市消防局、奈良県広域消防組合消防本部

【島根県】浜田市消防本部

【岡山県】岡山市消防局、総社市消防本部、東備消防組合消防本部

【山口県】防府市消防本部

【徳島県】海部消防組合消防本部

【愛媛県】八幡浜地区施設事務組合消防本部

【高知県】土佐清水市消防本部

【長崎県】長崎市消防局

【熊本県】熊本市消防局

【大分県】別府市消防本部

【宮崎県】宮崎市消防局

【沖縄県】那覇市消防局

(了)

(ニュース提供元:時事通信社)

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