脱炭素化の実効性のある取り組みは、広い視野で総合的に判断(イメージ:写真AC)

■それは自然破壊⁉

再生可能エネルギーには太陽光発電や風力発電があり、そして近年は製造プロセスに再エネを利用した水素エネルギーなども脚光を浴びている。今回は前2者を中心に現在の動向を探ってみるが、残念ながら手放しで世の中が歓迎しているわけではなさそうだ。まずは再エネに対するネガティブな意見から見ていこう。

たとえば「太陽光パネルは自然を破壊する」という意見がある。今や全国どの町や村、農地、工場でも太陽光パネルを見かける。しかし屋上や耕作放棄地などを有効活用するならまだしも、なかには容赦なく野山を切り開いてパネルを設置する事業者もいる。ほかに「太陽光パネルは寿命が短い」「廃棄時に有害物質を出す」「世界最大のCO2排出国の中国から輸入した太陽光パネルで再エネを普及させるのは矛盾だ」といった意見も。

風力発電も太陽光パネル同様に「自然や景観を損なう」「風力タービンの回転音で騒音被害を受けている」といった意見。ソーラーと風力に共通する根本的問題としては「天候に左右され安定的な電力を確保できない」「自然災害で破壊されやすい」など。

太陽光発電や風力発電には「自然を破壊する」「景観を損なう」など、ネガティブな意見も多い(イメージ:写真AC)

これらのネガティブな意見のなかには、明確なエビデンスがあるものとないものがあるが、海外の事例などを調べると、総じて国や自治体の施策、技術的改善を通じてある程度は解決できることが分かる。

たとえば自然環境や景観を損なうとされる太陽光パネルについて、欧州やアメリカでは市街地の屋上設置の義務化が広く進められているし、東京都なども新築住宅などへの設置の義務化を推進している。安定的な電力の確保についても、蓄電池を利用することで昼夜を問わない電力の確保は十分可能だ。