各実動機関の情報統合に着手。「ISUT-SITE」に集約して関係機関が閲覧(提供:伊勢正氏)

防災科学技術研究所の伊勢正氏は、内閣府の災害時情報集約支援チーム
(ISUT)*の一員として、馳浩石川県知事らとともに1月1日、石川県庁に到着した。自衛隊や消防、警察の実動部隊が集め、紙の地図上に集約した通行可能道路の情報を、さまざまな防災関係機関で活用できるよう電子地図上に整理していった。

ヘリコプターで現地入り

陸上自衛隊が主導し道路情報の集約を開始(提供:伊勢正氏)

1月1日に発生した能登半島地震で、自衛隊や消防、警察が集めた土砂崩れや地割れを避け、通行可能な道路情報を集約し、関係機関が情報共有できるように支援した防災科学技術研究所(防災科研)の防災情報研究部門で主任専門研究員を務める伊勢正氏。

「陸上自衛隊と連携のための訓練を重ねていたおかげでスムーズに支援に入れた。さらに、陸上自衛隊がシステムへの情報入力まで担ってくれた」と語る。

伊勢氏は地震発生から30分後に東京都内の自宅を出て、内閣府に向かった。災害時情報集約支援チームであるISUT(アイサット)の一員として、石川県をサポートするためだ。

「大津波警報が出た時点で被害が大きくなると予想し、出動要請前に動き出しました」と話す。能登半島でマグニチュード7.6が記録されてから、1時間ほどで内閣府に到着した。

20時過ぎに馳浩石川県知事、西垣淳子副知事、古賀篤内閣府副大臣らとともに防衛省のある市ヶ谷駐屯地をヘリコプターで離れ、23時30分ごろに石川県庁に到着。すぐに知事室で開催された会議に参加した。

ISUTが活動を開始した2018年には、大阪北部地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震が発生。府庁、県庁、道庁を支援した。以降も数々の災害で活動している。伊勢氏はISUTとしての活動以前から、熊本地震などで防災科研の研究員として支援に参加してきた。

2日の早朝5時30分ごろになると陸上自衛隊を中心に、消防、警察などの実動機関が情報集約に動き出した。それぞれの機関が集めた通行可能な道路情報を、紙の地図に書き込んでいった。

伊勢氏は電子地図上に情報を集約、整理する地理情報システム(GIS)の活用を提案し、ISUTは、紙の地図上の情報を電子地図に整理していった。この道路情報は防災関係機関のみが利用できる専用Webサイトの「ISUT-SITE」を通じて、さ機関が利用していった。

*ISUT(アイサット)
被災地に赴いて活動する災害時情報集約支援チーム。被災地外の情報を SIP4D に集約し、公的機関向けの専用ビューアー「ISUT サイト」を通じて現場で活動する組織に提供。また現場のさまざまな情報をデジタル化して SIP4D に取り込み、外からやって来る支援組織とも即時共有できるようにする。