被災地で支援活動を行う団体に災害用無線機とモバイルルータをレンタル(写真提供:テレネット)

防災用機器製造・販売のテレネット(長野県飯田市、青山貴子社長)は、能登半島地震の被災地で復旧活動を行う自治体や企業にスマートフォン型災害用無線機「ハザードトークM1(エムワン)」とモバイルルータ「N3(エヌスリー)アクセス」を貸し出している。

復旧支援に少しでも役に立ててほしいという思いで始めた取り組み。「アクセスが寸断された被災地で、通信の不安を抱えながらの活動は負荷が大きい。その不安だけでも払拭して作業にあたってほしいと考えた」と、同社広報担当でシニアプロモーションマネージャーの磯田宗人氏は話す。

1月5日にレンタルを開始すると、現地の活動にあたって無線機の数を確保したい既存ユーザーらが反応。これまでに「ハザードトークM1」を9団体に42台、「N3アクセス」を7団体に48台貸し出した。一部の団体は現在も継続して使用しているという。

ハザードトークは、法人向けデータ帯域を使って通信を行う仕組み。音声を瞬時にパケットに変換して相手に送ることで、輻そうや通話制限の影響を受けにくい。全体通話のほか緊急時にメリットがあるグループ通話、写真・動画・位置情報をプロットしての情報共有、気象庁の緊急速報の受信など、災害時に特化した機能を装備する。

また、モバイルルータのN3アクセスは大手4キャリアから最も強い電波を自動で受信。通信環境が不安定になるなか、電波状況がよいキャリアを選択できるようにすることで通信の冗長性を確保する。車両のシガーソケットから充電が可能だ。

災害用無線機「ハザードトークM1」とモバイルルータ「N3アクセス」(写真提供:テレネット)

磯田氏によると、停電が長期化した奥能登エリアでは今回、携帯基地局の非常用発電機をまわすためそれぞれに燃料補給が求められた。「ある企業はタンクローリー20台以上を派遣して200カ所以上の鉄塔に給油。そうした活動の際、ハザードトークとN3アクセスの両方を重宝に使ってもらった」という。

「今回は震災の復旧に対する支援だったが、防災用機器の製造・販売をしている会社として、社会貢献は常に考えていかないといけない」と磯田氏。今後も、依頼があれば引き続き機器の貸し出しを行っていく。