日大アメフト部大麻事件にみる不祥事の影響
第8回:大学ブランドに対する学生の意見

吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
2024/02/16
共感社会と企業リスク
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
昨年、2023年は、歴史に残るような不祥事が頻発した年となりました。ジャニー喜多川性加害問題、ビッグモーターの自動車保険金不正請求問題、日大アメフト部の大麻事件、ダイハツの検査不正問題、松本人志による性加害への告発などが挙げられます。
今年度の帝京大学の広報論の最後の講義では、23年に起きた不祥事の中でも個人的に気になっていた日大アメフト部大麻事件についてあらためて振り返り、受講生がどのようにこの事件をみていたのか、印象や意見を自由に書いてもらいました。
今回は、どんなふうに帝京大生がとらえていたのか、そして日大ブランドはどうなるのかをまとめてみたいと思います。
この問題、2023年7月に報道が出て、以降、年末にかけて断続的に話題となりました。学生が逮捕されて無期限活動停止になったかと思えばすぐ解除されたり、最初は個人の犯罪と大学は位置づけていたのに、2人目、3人目が逮捕されたうえ、対応にあたっていた澤田副学長が林理事長をパワハラで訴えたりするなど、かなり入り組んだ展開となっています。
あらためてみると、最初の自己申告があった時に適切な対応をしていれば、ここまで傷口が広がらなくて済んだのでは、と思います。2018年の危険タックル事件の時もそうでしたが、隠蔽体質が改善されていなかったのが問題だったといえるでしょう。
それにしても、年末に行われた逮捕された学生の公判で「薬物が入っている缶を澤田副学長が持っていった時に、監督から『澤田副学長に見つかって、よかったな』といわれた」という発言が出たのは驚きでした。その学生は「澤田副学長がもみ消すんだと思い、少し安心した」と受け止めたようですが、教育機関としてあり得ないことです。
共感社会と企業リスクの他の記事
おすすめ記事
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方