猛暑は経済活動にどのような影響を与えるのか(イメージ:写真AC)

■暑さ寒さも気候次第

今回から「第1部:私たちは今、どこにいるのか?」の本題に入っていこう。

ヒートアイランド現象が暑さを増幅させる(イメージ:写真AC)

ここ数年、夏になると猛暑、猛暑と騒いでいるものの、本当に猛暑は昔に比べて増えているのだろうか。この素朴な疑問への答えを探ることから始めよう。猛暑日とは気象用語の定義で「日中の最高気温が35℃以上の日」のこと。1910年~1939年の猛暑日の平均日数は0.8日、1993年~2022年は約2.7日なので約3.5倍だ。この数字だけを見ても、明らかに増えていることが分かる。

これに加え、各都市で発生するヒートアイランド現象が暑さをパワーアップする。都市部はコンクリートビルだらけで緑が少ないし、おまけに企業や家庭、そして膨大な数の自動車や鉄道、地下街を冷やすエアコンからの排熱もあって気温は上昇する一方だ。冷やせば冷やすほど空気が熱くなる。いわば暑さと冷房のいたちごっこの世界。都会でパワーアップされた熱は、郊外の山に囲まれた街や村などにも押し寄せているというから困ったものだ。

熱中症のリスクが増加(イメージ:写真AC)

人体への影響はどうだろうか? 総務省消防庁によると2023年7月31日~8月6日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で1万810人と、一昨年の同じ時期と比べて約1.38倍とのこと。特に高齢者や子供、体調の弱い人々がリスクにさらされており、重症のケースも増加している。

国や自治体では、気温上昇にともなう健康リスクに対処するため、熱中症に関する情報の提供や、適切な水分補給やクーラーの使用を奨励しているのだが、これからさらに暑くなったら、どうなることやら…。