2024/01/31
令和6年能登半島地震
精密機器メーカーのNTN(大阪府大阪市、鵜飼英一社長)は1月17日、奈良県五條市と共同で、能登半島地震で被害を受けた石川県能登町の施設に循環式水洗トイレを提供した。3月下旬頃まで無償貸与する。
当初は五條市への設置を予定していたもので、震災の報を受けた同市が能登町に無償貸与の申し出を行い、NTNもこれに賛同。三重県のNTN桑名事業所から五條市へ製品を輸送すると、16日に給水用の散水車とともに同市を出発、翌17日に現地へ到着し、即座に使用を開始した。
四方約2メートル、高さ2.5メートルのコンテナに、洋式便器1台と自動式手洗いを組み込んだトイレスペース。汚水を分解する処理層を備え、2000リットルのタンクに貯めた水を循環させて使う。動力源として太陽光発電パネルと蓄電池を搭載し、断水・停電地域での利用が可能だ。
NTNの自然エネルギー商品事業部は、輸送用コンテナに小型風力発電や太陽光発電、蓄電池を搭載した移動型独立電源ユニット「N3エヌキューブ」を展開。平時は倉庫や休憩所に、災害時は被災地の活動拠点に使う。2019年の台風15号の際には大規模停電に見舞われた千葉県鋸南町に運び、充電基地として開放。携帯電話のバッテリー切れで困っている被災者を支援した。
今回無償貸与した循環式トイレは「N3エヌキューブ」のレストルームモデル。軽量化・コンパクト化を図った新タイプで、ヘリコプターによる空輸も可能という。同社は「被災地の状況とニーズを考慮したうえで、今後も復興に向けた支援を検討していく」(経営戦略部広報グループ)とする。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方